説明の呪縛を取り外すフリーライティング

わかっていないときには理屈で考えようとしない方がいい。 けっこう昔、複数回の失敗を通じてそのことを学んだ気がするのだが、それでも時に理屈で考えようとしすぎてしまう。 あるいは「説明」しようとしてしまう。 説明するために理屈で考えようとしてしま…

好きだったもののひとつ

昔好きだった場所をひさしぶりに歩いて、その場所で好きだったものがほとんど無くなっていることをあらためて確認する。 ずっと前からわかっていたことではあるけれど、年齢を重ねるということは、好きなものが消えていく経験の連続なのだ最近思う。 もちろ…

責任(ランダムノート)

無責任の前には仕事術など何の役にも立たない。 ■ 無責任に見える人の中には単に他人に興味がないだけの人がいる。 ■ かつて勤めていた会社(A)の病的に細かい完成度を誇るあり方と、かつて勤めていた会社(B)の不可能を気合いで可能にすることを誇るあり方と…

想定を超えた(?)アウトライナーの使い方

倉下忠憲さんの以下の記事で言及していただいたTak.の「細かすぎるほど文を分割する」書き方について。 以下、ちょっと長いけど引用する。 その姿を実際に見たことはないが、Tak.氏はアウトライナーで細かすぎるほど文を分割することがあるらしい。単語や助…

T町とS町とM町

実家のあるT町に足を踏み入れることが年々きつくなってきている。 何がどうきついのかということを言葉で説明すること自体がすごくきついのだが、簡単に言ってしまえば町の変化と自分の変化(あるいは不変化)が合わさった何かということになると思う。 T町…

おもねり

少し前に「特定の状況下で人におもねってしまうことがある」という指摘を妻から受けたのだが、自分には確かにそういうところがある、と思う。そんなつもりは毛頭ないのだが、結果的にそうなっていることが確かにある。そのことをずっと考えている。 — Tak. (…

ノウハウの実用性と理屈を超越した何か

タスク管理や知的生産の手法について語るときに難しいのは、理屈と実用性が必ずしも一致しないことだ。理屈がこのように正しいのだから(たとえばシステムやワークフローがロジカルに設計されているから)必ずうまくいく、というものではない。 「理屈の上で…

教訓のアウトライン2022(操作中)

快楽を大事にしながら真剣かつ誠実に時間をかけて実行し、結果と自分をリスペクトする やらなければ分からないことがある やって分かったことは信頼した方がいい やって分かったことが正解とは限らない やって分かったことが全てとは限らない 結果はすぐには…

アウトライン・プロセッシングがセルフコーチングだという話

以下の2つの記事で『アウトライン・プロセッシング入門』と『アウトライン・プロセッシングLIFE』を紹介していただいた。 www.forest-of-freedom.com www.forest-of-freedom.com そして「生活のアウトライン(ライフ・アウトライン)はセルフコーチングであ…

どこかに決定的な断絶がある

二十歳の頃のことについて、あの頃ってコドモだったよねえという話を妻としていたのだが、もちろんその当時自分たちのことを「コドモだな」と思っていたわけではない。 そのときはそう思っていなかったけれど後から思い出すと明らかにコドモというのが、まあ…

効率がすべてではないことを効率悪く表現する

効率がすべてではない。 なんて言うとあまりにも陳腐に響くので口にする気にはならないけれど、それはとても重要なことだ。 効率を追求することで削り落とされるものの中には、時に非常に大切なものが含まれている。 ■ もちろん、効率が重視される場で効率を…

倉下忠憲さんとの共著『Re:vision』が発売されました

倉下忠憲さんとの共著『Re:vision:タスクリストとアウトライン』が発売されています。 Kindle Unlimited対応です。2020年にnoteで共同連載したものがベースになっていますが、電子書籍化にあたって大幅に改訂・再構成されています。 表紙は不思議な経緯を経…

「本物」の見本、あるいは現実の作業の規模の大きさと複雑さ

もしぼくがアウトライナーの使い方が知りたくて解説本を手に取った初心者だとしたら、いちばん見たいと思うのは「本物」の見本だと思う。 ここでいう「本物」とは「見本のために作った見本ではない」ということ。「現実に使われているアウトライン」と言い換…

選択基準を見つけること、文章を書くためのツールと技術

人生の時間は有限だから、重要でないことをやっている時間はない。 では、今目の前にある選択肢は重要なのか重要でないのか。どうすればそれがわかるだろうか。 たとえばミッションステートメントと呼ばれるものはそのためにある。きっと誰も真剣に受け止め…

個人の総合的な表現

このブログには「Diary」というカテゴリがあって、もちろんそれは「日記」を意味しているのだが、実際の「日記」が書かれることはまずない。 単なる「日記」をブログに上げることは、昨今なぜか抵抗がある。あるいは何者かによって抵抗を感じるような印象を…

アウトライナーは「動いている」情報を扱う

アウトライナーがもっとも適しているのは「動いている」情報を扱う用途だ。現在進行形、あるいは未来形の情報と言ってもいい。 今書かれつつある文章。これから書こうと思っている文章。今考えつつあること。これから考えようと思っていること。今生きつつあ…

アウトライナーについてまだ書けていないこと

これだけしつこくアウトライナーについて書いてる人はそんなにたくさんはいないとは思うのだけど、アウトライナーについてまだ書くことはあるだろうか。 WorkFlowyという、現代的なウェブブラウザさえあれば使える本格的なプロセス型アウトライナーが登場し…

遅れてやってくる痛み

年齢を重ねた筋肉痛の話ではなく。 学生の頃、何度も深夜に入り浸っていた実家最寄駅近くのミスタードーナツ。当時は午前2時までの営業だったと思う(入り浸る場所がミスタードーナツというあたりがいかにも自分らしい)。 レポートを書いたり試験勉強したよ…

プリントアウト上で編集する小さなテクニック

この記事は『書くためのアウトライン・プロセッシング』で「未使用」に落ちた(最終的に使われなかった)ピースを元にしています。 以下のツイートからアイデアをいただきました(「プリントアウトチェックのテクニック」分ですね)。ありがとうございます。…

(男の約束)

子供と大人の中間くらいの年の頃、ある件について父から「男の約束だぞ」と言われたその響きがどうにも居心地悪くて返事をしなかったことがあった。 それは家族の事情に関連したかなり重要な件について父と率直に話し合った後のことで、その結論自体に異論は…

Fくんに目を開かれた話と褒められた話(暗に階層を上がる話)

修士課程にいた頃、週1回の研究会の後によく二人で飲んでいたFくんという人がいた。 年は少し下。研究会に来ていた他の研究室の後輩、みたいな関係だったと思う。ちなみによく二人で飲んでいたとさらっと書いたけど、ぼくが人と積極的に飲みに行くというのは…

アウトライナーのズーム機能についての個人的見解

こちらのツイートを拝見しての記事。 なお、ズームによってコンテキストを一時的に断つことの効能は、Tak.さんの本で明確に示されていると思います。《ついついその要素をすべて使いたくなってしまう》のを防ぐこと。『書くためのアウトライン・プロセッシン…

自分の存在が流動的に感じられる場所

カフェに一時間半ほど座ってノートを開き、ペンでいろいろと書きながら考え事をする。 手書きのフリーライティング。 あれこれと考えを巡らせる類いのことは、家の机よりもいつも作業をするコワーキングスペースよりもこういう場所がいい。 自分の存在が流動…

「書くためのアウトライン・プロセッシング」フルバージョンと簡易版

『書くためのアウトライン・プロセッシング』では、アウトライナーの機能を生かして発想を引き出し、文章へと変換する技術とプロセスについて書いています。 でも考えてみれば、わたしたちが文章を書くシチュエーションの多くでは、そういうものを必要としな…

伝えることについての不連続なピース

高い熱量と読みやすい/魅力的な文章があればさほど興味のない内容でも読めてしまう。 ■ Aについて知りすぎている人が知りすぎているが故に語れないでいるうちに、Aについて少し知っている人が本を書く、みたいなことがある。 これが悪いことかというと必ず…

アウトライナーのアイデアプロセッサ性

「アウトラインプロセッサ(アウトライナー)」と「アイデアプロセッサ」はどう違うのかという話題が昔からあります。 「アイデアプロセッサ」はそもそも最初のアウトライナーであるThinkTankのキャッチフレーズとして使われた言葉なので、当初から同じもの…

シェイクはどうやって終わるんですか?

『書くためのアウトライン・プロセッシング』で 書きたいと思っていたことのひとつが 「シェイクはどうやって終わるのか」ということです。 「シェイク」はTak.のアウトライナー本を読んでくださっている方ならおなじみ、自由なアウトライン・プロセッシング…

アウトライナーは何の役に立つか(例)

発想はリニアではない。 思いもリニアではない。 時間はリニアである。 わたしたちは時間の中に生きている。 だから発想を伝える文章はリニアになる。 思いを実現する行動もリニアになる。 多くの苦労がノンリニアとリニアの変換に関わっている。 そこでアウ…

『書くためのアウトライン・プロセッシング』発売しました

告知が遅れてしまいましたが、新刊『書くためのアウトライン・プロセッシング』が発売されております。KDPによるセルフパブリッシングの電子書籍、Kindle Unlimited対象です。 ■ タイトル通り、『アウトライン・プロセッシング入門』、『アウトライン・プロ…

倉下忠憲『すべてはノートからはじまる』について

倉下忠憲さんの新刊『すべてはノートからはじまる』が出た。発売一週間で重版も決まり、大変好評なようだ。 倉下さんのポッドキャスト「うちあわせCast」(Tak.はここに準レギュラー的に出演しています)で執筆経過をずっと聞いていたので、感慨深いものがあ…