『アウトライン・プロセッシングLIFE』について(4) レベルアップと収束

『アウトライン・プロセッシングLIFE』についての話、そのよん。

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前々回の記事で、『アウトライン・プロセッシングLIFE』がマンダラートから受けた影響について書いたんですが、今回はアウトライン・プロセッシング全般についてマンダラートから受けた影響の話。

ぼくは、アウトライナー上でのアウトライン操作を5つの〈型〉に分類しています。

具体的には、

  • リスティング(書き出し)
  • ブレイクダウン(細分化)
  • グルーピング(分類)
  • レベルアップ(上位階層の探索)
  • ソーティング(並べかえ)

の5つ。

アウトラインの操作とは、この5つの操作を自由に組み合わせることです。

この中で、おそらくいちばんイメージしにくいのが「レベルアップ」ではないでしょうか。

レベルアップとは、ある項目に対して「その上位階層があるとしたら何か」を考えることです。

一見するとグルーピング(項目を分類すること)に似ていますが、レベルアップがグルーピングと異なるのは「元の項目がひとつでもいい」ということです。

グルーピングが単純な「分類」なのに対して、レベルアップは上位のコンテクストを与えることです。あるいは、元の項目を上位のコンテクストの中に組み込むことです。*1

つまり、上位の階層は、元の項目とは一見無関係なものでもいい。ある項目をどんなコンテクストの中に位置づけるかは、あくまでもアウトラインを操作する人が決めることだからです。

アウトライナーを発想ツール的に使うというと、多くの人は「グルービング」をイメージするようです(よく行われる簡易KJ法的な使い方はまさにそうです)。

でも、実は劇的に思考をジャンプさせてくれることが多いのは「レベルアップ」なのです。*2

このレベルアップ操作、やっている人はおそらくたくさんいるはずなのですが、あまり「書かれた」ものを見たことがありません(もちろん、ぼくが知らないだけの可能性もあります)。

で、アウトライン操作としての「レベルアップ」を意識するきっかけを与えてくれたのは、やはりマンダラートです。

マンダラートは、通常は中心セルから周辺セルへと思考を「展開」するのですが、逆に周辺セルから中心セルへと「収束」させる使い方もあります。周辺セルの内容に対応する中心セルは何だろうか、と考えるわけです。

これは周辺セルの「意味」を問うことなのですが、この「収束」の機能をアウトライナーに当てはめたのが「レベルアップ」なのです。

『アウトライン・プロセッシングLIFE』では、個人的なアウトライン・プロセッシングのプロセスを細かく追っていくのですが、読んでいただいた方は、アウトラインが大きく変化する、あるいは成長するきっかけが、多くの場合「レベルアップ」であることがわかると思います。

本書では、たまたま「タスク管理」から出発したアウトラインを例にしていますが、レベルアップが果たす役割は、文章のアウトラインでも同様です。

*1:千葉雅也さんの『勉強の哲学』を読んで以来、これを「有限化」と読んでも差し支えないのではないかと思うようになったのですが、これはちょっと保留にしておきます。

*2:ちなみに、項目がリニアに並び、空間的な配置ができないアウトライナーは、KJ法的な用途にはあまり向いていません。というか、アウトライナーはそもそも「発想ツール」ではないとぼくは思っています。ただし使っているうちに結果的に発想してしまうことは多々あります。