『アウトライン・プロセッシングLIFE』について(6) 書いてある通りでなくてもいい

『アウトライン・プロセッシングLIFE』についての話、そのろく(もう終わったと思っていただろう、ふふふ)。

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本書には、個人的なニーズから作り始めた「タスクのアウトライン」が、人生と生活という2つの「ライフ」をクリアにするアウトラインへと育っていく過程が描かれています。

だからもちろん、タスクを扱うことについての実用的な情報もいろいろと入っているのですが(そしてかなり実用的な情報が入っていると自負していますが)、それを書いてある通りに実行することをおすすめする本ではありません。

たとえば、今日をクリアにする「DAYSのアウトライン」には、今日やること(DO)を書き出すのですが、その数は「6つ」ということになっています*1

「6つ」の根拠は、DAYSの機能のベースに有名な「アイビー・リー・メソッド」を使っていて、その中で一日の仕事を「6つ」に限定することになっていたこと、そして実際に運用してみた結果、自分にとっては「6つ」がたまたま使いやすかったというだけです*2

でも、それは別に決まりではない。「30個」にしたい人がいたら、そうしたっていっこうに構わないと思う。

ただし、30個のDOはできないと思うし、人間らしい一日を送るためには「6つ」くらいがちょうどいいと感じる、ということは追記しておきます*3

その上、本書の前半が終了したところで、そうしたノウハウだけでは足りないということを、著者自身が痛感してしまっている。

そんな不確かな(?)ものを本に書くのかと思う人がもしいたら、その人はちょっとだけ「正解」に毒されているかもしれない。

本書に書かれている「DO」「DAYS」「BE」「AS」の各アウトラインは、あくまでも筆者=ぼくがアウトラインを操作しながら自分にとって最適な方法を「考える」ことを通じて、結果的にこうなったよという例にすぎません。

当然、ぼくにとっては非常に強力ですが、同じようにやれば誰にとっても強力だとは限らない。

「おわりに」に書いたように、本書はタスク管理からスタートしてはいますが、「アウトライナーによるタスク管理」の本でも「ライフ・アウトラインづくりをおすすめする本」でもなく、アウトライン・プロセッシングの本です。

むしろ、(ぼくにとっての)最適な仕組みがどんなプロセスを経て作られていったか、そのアウトライン・プロセッシングの過程と方法を見て欲しいと思う。

もしそれが「あなたにとっての正解」を探すヒントになれば、それは望外の喜びです。

といいつつ、ここがまたトリッキーなところですが、書いてある通りのアウトラインをそのまま使っても、もちろんいいと思う。

それが使いやすいと感じれば、そのまま使えばいい。でも、使いながら少しでも気になるところ、満足いかないところがあったら、どんどん変えていけばいい。1年後には、最初とはまったく違うアウトラインになっているかもしれない。

自由に作り、自由に変えられるということが、できあいのアプリではなくアウトライナーという汎用ツールを使う意味だからです。

*1:本書では、タスクを含む「やりたいこと・やるべきことについての思考」を「DO」と呼んでいます。タスクはタスクとして頭に浮かぶわけではないからです。

*2:正確に言うと「6つに限定する」のではなく、「6つを超えるDOはできなくてもいいことにする」です。

*3:繰り返しになりますが、DOは「タスク」ではなく「やるべきこと、やりたいことについての思考」なので、実際の「タスク」としてはもっとずっと多くなるということもあります。