古き良き時代の話の良きこと

小学生のころ、「オトナになったらなりたい職業アンケート」みたいなものがあって、ぼくはそこに「サラリーマン」と書いた。

特になりたい職業も思いつかなかったので父の職業を書いただけ(いや、サラリーマンは職業じゃないのだが)。

当時のクラスメートの多くはサラリーマンの家庭だったはずだが、「サラリーマン」と書いたものはひとりもいなかった。

なぜ知っているかというと、そのアンケート結果は卒業アルバムに掲載されているからだ。

見開きのそのページには「未来のクラスメート」たちの似顔絵が載っている(全員がクラスの他の誰かの絵を描いた)。

その中に、背広にネクタイを締め、ヘアクリーム的なツヤのある髪を七三に分けた自分がいる(それが80年代はじめの「サラリーマン」のイメージだった)。

顔は、けっこうよく似ている。

( ˘_˘ )v ← 似顔絵にしやすいタイプの顔

先生にも親にもその絵は評判が悪かった。似顔絵がではなく、答えが「サラリーマン」であることに対して。

子供らしくないとか?

夢がないとか?

つまらないとか?

やる気がないとか?

複数の人からそう言われたのだが、よく考えてみるとそれって父に、というかサラリーマンに、ずいぶん失礼じゃないかと思ったけどにゃ。

いろんな意味で古き良き時代のお話だなあと思うけど、この話の「良き」ことは何か。

ちなみにぼくが描いた他の誰かの似顔絵もあるはずなのだが、それらしい絵はどこにも見あたらない。