「ひとり」であるためのガイド

20代後半から30代前半にかけて、地方に行くことが仕事みたいなものだった。

いつも収入に不安を抱えていて、家族の健康にも不安を抱えていて、でも不思議と思い出して嫌な感じはしない。

たぶん、「ひとり」でいろんなことをしていたからだ。

その後会社員になって「ひとり」で仕事をする機会がなくなった後、ブログを書くようになったのは、「ひとり」の感覚を維持するためだったのかもしれないと思うことがある。

もちろん仕事とは人との関係の中にあるものだから、本当に「ひとり」の仕事なんかあり得ないわけで(それどころか社会と関わるどんな活動もあり得ないわけで)、それはあくまでも感覚の問題。

でも、その感覚はけっこう重要なものなんじゃないかという気がする。

孤独は誰か(何か)に解消してもらうべきものであり、自分には当然その権利があると固く信じている人がいう文脈での
仲間とか
絆とか
ふれあいとか
人のあたたかさとか
そういうものの暴力の話だ。

もちろん、そんなことを言ってると「ひとり」になる。だからこそひとりではない。

素敵な本は、それがどんなジャンルのものであれ「ひとり」であるためのガイドになるものだと思っている。