モンブラン

彼女はとても優秀だけど、ちょっと押しが弱くて主張できないところがあるから、そのへんは直さないとねー、と言われていた新入社員のKさんが、客先での打ち合わせ帰りに立ち寄ったドトールで、ひとつだけ残っていたモンブランを頼もうとしていた指導役の先輩Yさんに意を決したように歩み寄り、

K「Y先輩! お話ししたいことがあります」

Y「わっ、どうしたの急に」

K「私に、私に、その、モンブランを、譲ってください!」

Y「い、いいけど……K、モンブラン好きなの?」

K「はい、好きです!」

と主張したときの圧の強さが思い出される初冬の雨の横浜。