【告知】『書くための名前のない技術 Case 3 千葉雅也さん』発売しました

電子書籍(KDP)新刊の告知です。

Tak.がゲストの方を招いて「文章の書き方」についてインタビューするシリーズの第3弾。今回は千葉雅也さんです。

『書くための名前のない技術 Case 3 千葉雅也さん』 

書くための名前のない技術 Case 3 千葉雅也さん

 

果たして自分に消化できるのか不安でしたが、なんとかなった、はずです。というか、面白いです。

千葉雅也さんには長時間のインタビュー、そしてメールでの確認や資料提供にご協力いただきました。ありがとうございました。

作業の最後の最後に書いた「おわりに」に書きたいことは全部書いてしまったので、そのまま引用します。

 

---- 「おわりに」より ----

『書くための名前のない技術』シリーズを始めるにあたって、インタビューをお願いしたい候補者のリストを作りました。リストは何度か変化していますが、千葉雅也さんは最初からリストの上位にあったひとりです。

千葉さんとは『アウトライン・プロセッシング入門』を紹介していただいたことをきっかけにTwitter上でときどきやり取りするようになったのですが、実際にお会いしたことはありませんでした。

インタビューを依頼するタイミングを図っていたところ、あるきっかけで直接Twitter上でお願いすることになり、その場で快諾いただきました。

とはいえ、悩むわけです。これまでの『書くための名前のない技術』シリーズは、どちらかというと執筆プロセスについて自らはあまり語らない方が対象でした。そういう書き手の方の語られない方法の中に、実は多くの人に応用可能な「名前のない技術」がある、というのがこのシリーズを始めた動機です。

でも、千葉さんはプロセスについて自覚的というか、それを考えることが仕事に含まれているよう人です。『メイキング・オブ・勉強の哲学』という、プロセスを赤裸々に開示する本さえ出しています。この上自分がいったい何を聞くのだという。

結局、(シリーズ共通の)標準的な質問項目以外は、うまく聞くこともオリジナルな質問をすることも考えず、ひたすら千葉さんとの会話を楽しみつつ、知りたいと思ったことをその場で率直に聞くことにしました。結果的にはそれがよかったかな、という気もしています。

インタビューの日、サインもらおうと思って(←ミーハー)千葉さんの著書を何冊か持っていったのですが、『意味がない無意味』と迷った末に『メイキング・オブ・勉強の哲学』にサインしてもらいました。たぶんこの選択は少数派でしょう。でも、いろんなところで書いていますが、千葉さんのような人が仕事の方法論を詳細に赤裸々に公開するケースはまずないことです。それを目にできるというのは、けっこうすごいことなのです。

インタビューが行われたのは2019年9月23日です。当時『デッドライン』が『新潮』に発表されたばかりだったため、同作について詳しく聞くことは敢えて避け、最新刊であった『アメリカ紀行』と単発原稿の話を中心にうかがうことになりました。

本書のインタビューには、これまでの『書くための名前のない技術』シリーズにあった「書くためのメンタル」という節がありません。

単純に話として出てこなかったからなのですが、読み返してみてわかるのは、千葉さんの方法自体にメンタルをサポートする機能が組み込まれているということです。そこで「書くための技術」と「書くためのメンタル」は切り離せない、という当たり前のことに気づくのです。

「切り離せない」というのが私の中での千葉さん編のキーワードです。WorkFlowyを介して日々の生活と仕事(執筆)がつながっている。Twitterを介して日常の何でもないつぶやきと執筆のためのメモがつながっている。博士論文と小説がつながっている。技術とメンタルがつながっている。

切り離されている(と思われている)ものをつないでいくこと。それらは本来ひとつなのだと考えること。それは私自身が切実に必要としている何かに関わっていると感じます。

千葉さんのお話からはたくさんのヒントをいただけたと思います。千葉さん、ありがとうございました。