Word Piece 2024-02-23T12:07:48+09:00 takwordpiece Hatena::Blog hatenablog://blog/8599973812332127997 レリバント hatenablog://entry/6801883189085454142 2024-02-23T12:07:48+09:00 2024-02-23T12:15:50+09:00 → 個別の問題 個人が抱えている問題が他人に本当の意味で「わかる」ことはない。 一般的な意味で「わかる」ことはもちろんある。たとえば子育てや介護が大変であることは「わかる」。離別や死別が辛いことも「わかる」。同じような経験をしていればその範囲で「わかる」。 でも、個別の領域に入っていけば、あるところから先はどれほど想像しても100%「わかる」ことはない。 違和感の表明 人との関わり(たとえば仕事)の中で納得いかないことや違和感があるが、それを表明すれば他の人たちに迷惑がかかると思って飲み込む。そんな経験はきっと多くの人が持っている。 飲み込むことは人のことを考えた態度のように思えるけれど、長期… <h4 id="-個別の問題">→ 個別の問題</h4> <p style="font-weight: 400;">個人が抱えている問題が他人に本当の意味で「わかる」ことはない。</p> <p style="font-weight: 400;">一般的な意味で「わかる」ことはもちろんある。たとえば子育てや介護が大変であることは「わかる」。離別や死別が辛いことも「わかる」。同じような経験をしていればその範囲で「わかる」。</p> <p style="font-weight: 400;">でも、個別の領域に入っていけば、あるところから先はどれほど想像しても100%「わかる」ことはない。</p> <h4 id="違和感の表明">違和感の表明</h4> <p style="font-weight: 400;">人との関わり(たとえば仕事)の中で納得いかないことや違和感があるが、それを表明すれば他の人たちに迷惑がかかると思って飲み込む。そんな経験はきっと多くの人が持っている。</p> <p style="font-weight: 400;">飲み込むことは人のことを考えた態度のように思えるけれど、長期的には状況をより悪くしてしまう可能性がある。</p> <p style="font-weight: 400;">じゃあ違和感は無条件で表明すればいいのかというと、たぶんそんなことはない。</p> <p style="font-weight: 400;">「迷惑がかかる」という言葉が適切ではないとしても、皆が思っていながら口にしなかった違和感を口にすることで、誰かに<strong>適当な範囲を超えて</strong>精神的・肉体的負担がかかることはある。</p> <p style="font-weight: 400;">そっちの方の当事者になってもやもやした経験も、きっと多くの人が持っている。</p> <h4 id="深まるはずのもの">深まるはずのもの</h4> <p style="font-weight: 400;">「アイデアや発想をシェアすることが力になる」という考え方は基本的に正しいと思うけれど、単純に受け止めすぎない方がいいとも思うようになった。</p> <p style="font-weight: 400;">考えた「結果」をシェアすることは良いことだし力になると思う。でも、それ以前の段階(思いつき、あるいは考えているプロセス)をシェアすると、深まる可能性のあったものが深まずに終わることが多い。そう感じることが増えた。</p> <h4 id="レリバント">レリバント</h4> <p style="font-weight: 400;">かつてrelevantだったものがそうではなくなることがあるし、ある場面ではrelevantなことが別の場面ではそうではないことがある。ものすごく当たり前のことだけど、多くの人がそのことを忘れている。</p> <h4 id="個別の問題-">個別の問題 →</h4> <p style="font-weight: 400;">個別の問題について他人に求められることは想像してもらうことだけだし、他人に対してできることは精いっぱい想像することだけだ。</p> takwordpiece 社長が消えた朝 hatenablog://entry/6801883189084052220 2024-02-18T01:00:24+09:00 2024-02-18T11:01:44+09:00 ちょっと理由があって25年くらい前に勤めていた会社(社員としては前々職)の周辺をストリートビューで眺めていたら強烈な懐かしさに襲われた。会社が入っていたビルの周囲だけが取り残されたように昔のまま残っていた。空を遮る見慣れない壁があると思ったら虎ノ門ヒルズだった。 — Tak. (@takwordpiece) February 13, 2024 昔勤めていた会社は大和ビル(仮名)という小さなビルに入っていた。 いわゆる「オフィスビル」と言って多くの人が想像するようなものではなく、最上階に大家さんが住んでいるようなタイプのビル。土地勘がある人なら雰囲気は想像がつくと思う。あのあたりには同じようなビ… <blockquote class="twitter-tweet"> <p dir="ltr" lang="ja">ちょっと理由があって25年くらい前に勤めていた会社(社員としては前々職)の周辺をストリートビューで眺めていたら強烈な懐かしさに襲われた。会社が入っていたビルの周囲だけが取り残されたように昔のまま残っていた。空を遮る見慣れない壁があると思ったら虎ノ門ヒルズだった。</p> — Tak. (@takwordpiece) <a href="https://twitter.com/takwordpiece/status/1757224266880426366?ref_src=twsrc%5Etfw">February 13, 2024</a></blockquote> <p> <script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> </p> <p style="font-weight: 400;">昔勤めていた会社は大和ビル(仮名)という小さなビルに入っていた。</p> <p style="font-weight: 400;">いわゆる「オフィスビル」と言って多くの人が想像するようなものではなく、最上階に大家さんが住んでいるようなタイプのビル。土地勘がある人なら雰囲気は想像がつくと思う。あのあたりには同じようなビルがたくさんあった。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">メンバーは社長、先輩、ぼくの3人だけ。加えてフリーランスの人が数人(そのうちのひとりは、かつて安田講堂で社長といっしょに逮捕された仲らしい)。それから女性のアルバイト(社長の姪っ子。ギャル)。</p> <p style="font-weight: 400;">長い社名からも出入りしている人間からも、いったい何をしている会社なのか周囲の人にはまったくわからなかったと思う。70年代のドラマに出てくる冴えない探偵事務所ってこんな感じだったかもしれない。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">大和ビル(仮名)には他にも何をしているのかよくわからない小さな会社がいくつか入っていたが、同じフロアの「スカイなんとか」という会社もそのひとつだった。「航空関連のベンチャー企業」ということだったが詳細は不明。40代前半と思われる社長の男性と、20代と思われる若い男女数人が出入りしていた。</p> <p style="font-weight: 400;">社長を初めとして全員がきちんとスーツを着ていて、朝顔を合わせると「おはようございます」と挨拶してくれた。(目つきが悪いか愛想が悪いかその両方の)我が社とはぜんぜん違う。何かの折にちらっと見える事務所のインテリアは現代的で垢抜けていた。</p> <p style="font-weight: 400;">聞くところによれば、スカイなんとかが大和ビル(仮名)に入っているのは一時的なことで、間もなく一等地のもっと大きなオフィスに引っ越す予定ということだった。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">スカイなんとかの人々とはじめてちゃんと会話したのは、ある寒い冬の朝のことだった。</p> <p style="font-weight: 400;">コーヒーを飲みながら打ち合わせしているとノックの音がした。ドアを開けると、スカイなんとかの若い男性社員と女性社員が途方に暮れたような顔で立っていた。</p> <p style="font-weight: 400;">「あのう、うちの社長知りませんか?」と彼らは言った。</p> <p style="font-weight: 400;">「と言うと?」</p> <p style="font-weight: 400;">「今朝来てみたら……」</p> <p style="font-weight: 400;">そう言われて隣の事務所の中を見てみると、コピー機と大きな観葉植物の鉢だけを残してもぬけの殻になっていた。机も電話もパソコンもキャビネットも応接テーブルもコーヒーメーカーもなく、観葉植物だけ(後でよく見たら床に電話機が一台転がっていた)。</p> <p style="font-weight: 400;">「昨日の午前中までは普段どおりだったんです」と彼らは言った。「午後は二人で営業に行き、そのまま直帰しました。それで朝出社してみたら……」</p> <p style="font-weight: 400;">そこにスカイなんとかのもう一人の社員が出社してきた。「あ、おはようございます……みなさんどうしたんですか?」</p> <p style="font-weight: 400;">「とりあえずコーヒーでもどう?」と(我が社の方の)社長が言った。</p> takwordpiece 恋人と機能とジャストアイデア hatenablog://entry/6801883189082302314 2024-02-11T15:56:38+09:00 2024-02-11T16:17:08+09:00 マッチングアプリは、(少なくとも最初の段階では)容姿とスペックでしか相手を選べない。 容姿とスペックで相手を選べば、マッチングした後は必然的に減点主義にならざるを得ない。容姿とスペック以外のイニシャルな情報が何もないのだから。 職場や学校での出会いなら、相手を恋愛対象として意識する前に、容姿とスペック以外のデータが自然に蓄積されていくことになる。 そのために、容姿とスペックでは基準に満たない相手との恋愛が発生することがあり得る。プロセスの中で加点される可能性があるわけだ。 もちろんプロセスの中で減点されて、容姿とスペックだけで判断すれば立てたかもしれないスタートラインにすら至らないこともあるか… <p>マッチングアプリは、(少なくとも最初の段階では)容姿とスペックでしか相手を選べない。</p> <p>容姿とスペックで相手を選べば、マッチングした後は必然的に減点主義にならざるを得ない。容姿とスペック以外のイニシャルな情報が何もないのだから。</p> <p>職場や学校での出会いなら、相手を恋愛対象として意識する前に、容姿とスペック以外のデータが自然に蓄積されていくことになる。</p> <p>そのために、容姿とスペックでは基準に満たない相手との恋愛が発生することがあり得る。プロセスの中で加点される可能性があるわけだ。</p> <p>もちろんプロセスの中で減点されて、容姿とスペックだけで判断すれば立てたかもしれないスタートラインにすら至らないこともあるかもしれない。</p> <p>■</p> <p>ノートツールやタスク管理ツールなどと呼ばれるものは無数にあるが、多くの大同小異だ。でも時として「一見地味だけれど考え抜かれた機能」に出会うことがある。</p> <p>思考と試行の繰り返しのプロセスの結果わかってきたことを煮詰めて形にしたような機能たち。</p> <p>個人的に知っているものだと、たとえばWorkFlowyやBike OutlinerやThingsの機能にはそういうものを感じる。</p> <p>超高機能というわけではないので、その良さを言葉で説明することはすごく難しい。でも使ってみると「ああ、考え抜いたんだな」ということがありありと伝わってくる。背後で重ねられたプロセスの重みを感じることができる。</p> <p>■</p> <p>込み入った議論の最中に、唐突にそれまでのプロセスを超越した「ジャストアイデア」を言い出す人がいる。「ジャストアイデアなんだけどさ、アレをコレしちゃうっていうのはどう?」みたいな感じ。</p> <p>ジャストアイデアというのはつまり「思いつきに過ぎないんだけど」と言っているわけだから、本来それほど真剣に捉えなくてもいいはずなのだが、発言主が権力や決定権を持つ人だったりするとそういうわけにもいかない。</p> <p>内心「それができりゃ苦労しねーんだよ」と思っても無視はできないし、無視しない以上議論の俎上に乗せざるを得ない。</p> <p>そして「ジャストアイデア」を言い出すのはたいてい権力や決定権を持つ人だ。</p> <p>結果的に、その「ジャストアイデア」を結論のどこかに組み込まざるを得なくなり、物ごとは無意味に複雑に、面倒になる。</p> <p>同じような言い回しに「俺のハダカンなんだけどさ──」というのもある。</p> <p>人は偉くなって判断と決定をする立場になると、この種のジャストアイデア的なものを連発してしまうことが多い。それは一般的には「現場を知らない」などと表現されたりする。現場とはプロセスのことだ。</p> <p>■</p> <p>繰り返し否定され、繰り返し再評価されたもの。時間とプロセスの中で濾過されたもの。その重みを表現することはとても難しい。たどってきたプロセスに当てはまる(一言で表現する)言葉がないからだ。</p> <p>結果的に、安易に言葉として、数値として、ロジックとして表現されてしまったものに対抗できないことになる。</p> <p>■</p> <p>ところで、ごく稀にはジャストアイデアが(プロセスをすっ飛ばしているからこそ)本質を突いていることがある、というのもまたリアルライフ。</p> takwordpiece 昭和の男たちのそれを待つ hatenablog://entry/6801883189077145905 2024-01-22T17:10:23+09:00 2024-01-22T17:10:23+09:00 散歩の途中、昭和の風情の残る商店街から脇に入った路地で、とてもひさしぶりに「立ち小便」というものを見かけた。 二人連れのおじさんが、仲良く並んで。 すぐそばにはコンビニもあるし(そこにはトイレがある)、ミスタードーナツもあるし(そこにはトイレがある)、小さいけれど駅もある(そこにはトイレがある)。 二人の風情には「どうしようもなく」「やむにやまれず」という切迫感も感じられない。むしろのんびりと平和に、商店街を大音量で流れるお正月BGMの琴の音色をバックに、談笑さえしている。 ■ 子どもの頃、周囲の大人の男たちは当然のようにそれをした。そしてお前もしろとぼくにせまった。昭和の日本は、ずいぶんと野… <p>散歩の途中、昭和の風情の残る商店街から脇に入った路地で、とてもひさしぶりに「立ち小便」というものを見かけた。</p> <p>二人連れのおじさんが、仲良く並んで。</p> <p>すぐそばにはコンビニもあるし(そこにはトイレがある)、ミスタードーナツもあるし(そこにはトイレがある)、小さいけれど駅もある(そこにはトイレがある)。</p> <p>二人の風情には「どうしようもなく」「やむにやまれず」という切迫感も感じられない。むしろのんびりと平和に、商店街を大音量で流れるお正月BGMの琴の音色をバックに、談笑さえしている。</p> <p>■</p> <p>子どもの頃、周囲の大人の男たちは当然のようにそれをした。そしてお前もしろとぼくにせまった。昭和の日本は、ずいぶんと野蛮だったのだ。</p> <p>ぼくはそれをしなかった。だからその辺で立って待っていた。何ら恥ずべきところはない。</p> <p>ないけれども、男たちのそれが終わるのを、ひとりぽつんと待っているときの心持ちは、自分は男として相応しい振る舞いができない人間なのだという淡い劣等感とともに記憶されている。</p> <p> </p> <p><span style="font-size: 80%;">※2018年1月にNoteに公開した記事を微修正したものです。<a href="https://wordpiece.hatenablog.com/entry/2024/01/16/221950">前回の記事</a>を書きながら思い出した。</span></p> takwordpiece 努力して身につけた「ああいうもの」的な振る舞い hatenablog://entry/6801883189075614550 2024-01-16T22:19:50+09:00 2024-01-17T00:05:50+09:00 報道などで、ある集団の上下関係の中で生起する構成員の醜悪な振る舞いが明るみにでる。それを見て「ああいうものにはなりたくないな」と思う。 でも往々にして、その「ああいうもの」的振る舞いは自ら努力して身につけたものだったりする。生きていくために環境に適応しようとした結果だ。 芸能界や政界やプロスポーツ界のそれが大々的に報じられることが多いけれど、一般人にも決して無縁な話ではない。学校の運動部でも企業でも各種団体でも、いくらでも目にすることだ。 新人に、その世界の常識として教え込まれる振る舞いがある。そこで生きていくために新人たちは必死になってそれを身につける。その過程は往々にして苦しく理不尽だ。 … <p>報道などで、ある集団の上下関係の中で生起する構成員の醜悪な振る舞いが明るみにでる。それを見て「ああいうものにはなりたくないな」と思う。</p> <p>でも往々にして、その「ああいうもの」的振る舞いは自ら努力して身につけたものだったりする。生きていくために環境に適応しようとした結果だ。</p> <p>芸能界や政界やプロスポーツ界のそれが大々的に報じられることが多いけれど、一般人にも決して無縁な話ではない。学校の運動部でも企業でも各種団体でも、いくらでも目にすることだ。</p> <p>新人に、その世界の常識として教え込まれる振る舞いがある。そこで生きていくために新人たちは必死になってそれを身につける。その過程は往々にして苦しく理不尽だ。</p> <p>それに耐えて推奨される振る舞いを身につけることに成功し、集団の中に居場所を確保した人間はその経験を「大変だったけど糧になった」とか「成長させてもらった」などと言う。</p> <p>実際、それは社会で役に立つ。学生時代にその種の振る舞いを叩き込まれた人間が企業に歓迎される、などということも分かりやすく起こる。</p> <p>■</p> <p>特定の集団内のことに限らない。</p> <p>今はあまり言われない(と信じたい)けれど、「据え膳食わぬは男の恥」ということわざがある。</p> <p>もし意味を知らない人がいたら調べてほしいけれど(その者たちは幸いだ)、かつて女性に対して積極的でない男性は、人生の先輩にこの言葉を持って諭された。「そんなことでどうする、お前も男なら──」というアレだ。</p> <p>個人的な経験では、「据え膳を前に何もできない奴は仕事でも使えない」とすら言われたことがある。</p> <p>その言葉に発奮して自分を変えようと「努力」し、そういうタイプでもないのに結果的に醜悪な振る舞いをしてしまった男性は、おそらく無数にいる。</p> <p>もちろん、(広い意味での)恋愛のプロセスの中で「据え膳を食う」と表現されるところの積極性・能動性を発揮するべき状況(あるいは相手の積極性・能動性に応えるべき状況)があることはたぶん事実だ。でも、そんな状況はそれほど頻繁には起こらないし、まして今の状況がそれであると判断するのは決して簡単なことではない。</p> <p>そしてその判断には他人のライフと身体の領域に進入するにあたっての自覚と責任が伴う。冗談と軽いノリのうちにあってもそれができる人をオトナというのだ。</p> <p>その判断の難しさと自覚と責任について、例のことわざは述べていない。だからこそ力をもった集団内上位の男性に(あるいはその種の振る舞いが躊躇なくできる男性に)都合のいいように解釈され、利用されてきたと思う。</p> <p>■</p> <p>社会や集団の一員となり、認められるために身につけようと努力してきた振る舞いの中に「ああいうもの」的なものが含まれているかもしれないことは、意識しておいた方がいい。こんなことを書いている自分だって、決して「ああいうもの」性と無縁に生きてきたわけではない。</p> takwordpiece ライフが交差するいつもの場所 hatenablog://entry/6801883189074576973 2024-01-12T23:53:15+09:00 2024-01-13T10:44:35+09:00 周囲に人がいると落ち着かないし緊張するし集中もできないので、できるかぎり避けたい(だから会社員をやっていると「職場では仕事できない」という深刻な問題に直面する)。 でも不思議なことに喫茶店やカフェでは多少騒がしいくらいが落ち着くし集中もできる。本も読めるし仕事もできるしぼんやりもできる。 知らない人々がそれぞれ思い思いに(必要な秩序とマナーを守りつつ)自分のことをしている。その中で自分もまた(必要な秩序とマナーを守りつつ)、自分のことをする。それぞれのライフがあり、日々の営みの中のいつもの場所で偶然交わる。その中に自分のライフもある。 いつものドトールには漫画家であると思われる人もいるし、経済… <p>周囲に人がいると落ち着かないし緊張するし集中もできないので、できるかぎり避けたい(だから会社員をやっていると「職場では仕事できない」という深刻な問題に直面する)。</p> <p>でも不思議なことに喫茶店やカフェでは多少騒がしいくらいが落ち着くし集中もできる。本も読めるし仕事もできるしぼんやりもできる。</p> <p>知らない人々がそれぞれ思い思いに(必要な秩序とマナーを守りつつ)自分のことをしている。その中で自分もまた(必要な秩序とマナーを守りつつ)、自分のことをする。それぞれのライフがあり、日々の営みの中のいつもの場所で偶然交わる。その中に自分のライフもある。</p> <p>いつものドトールには漫画家であると思われる人もいるし、経済誌の編集者であると思われる人もいるし、鳥が大好きな男の子もいる。他にもなんとなく顔を覚えている人々がいる。何かの拍子にちょっと会話したりもする。でもそれ以上は交わらない。交わらないけどなんとなく知っている。</p> <p>ライフが交差するいつもの場所が、いつものようにあることのありがたさを思う年始だった。</p> takwordpiece ごく普通に永久にどこにでもあると思っていたもの hatenablog://entry/6801883189062069419 2023-11-27T11:30:38+09:00 2023-11-27T11:39:58+09:00 窓際の席に座り、道ゆく人々や辺りの商店の営みをぼんやり眺めながら時間を過ごすというのが、喫茶店の由緒正しい使い方のひとつだった。 問題は、路面にあって外の景色が眺められる窓際席を備えた喫茶店が年々少なくなっていることだ。 昔は(根拠も統計もないけど体感では90年代の半ばくらいまでは)、そんなものめずらしいとも思わなかった。ごく普通に永久にどこにでもあるものだと思っていた。それが今はとても貴重に思える。 ■ ときどき利用する某ドトールには、そんな貴重な窓際席が少しだけある。通りがかりに運良くその席が空いているのを見ると、思わずコーヒーを飲みに入ってしまう(この間は二人で入ってそれぞれケーキもつけ… <p>窓際の席に座り、道ゆく人々や辺りの商店の営みをぼんやり眺めながら時間を過ごすというのが、喫茶店の由緒正しい使い方のひとつだった。</p> <p>問題は、路面にあって外の景色が眺められる窓際席を備えた喫茶店が年々少なくなっていることだ。</p> <p>昔は(根拠も統計もないけど体感では90年代の半ばくらいまでは)、そんなものめずらしいとも思わなかった。ごく普通に永久にどこにでもあるものだと思っていた。それが今はとても貴重に思える。</p> <p>■</p> <p>ときどき利用する某ドトールには、そんな貴重な窓際席が少しだけある。通りがかりに運良くその席が空いているのを見ると、思わずコーヒーを飲みに入ってしまう(この間は二人で入ってそれぞれケーキもつけたから、その席は明らかに売り上げに貢献している、と思う)。</p> <p>その席からは、道路を挟んで向かいにある焼き鳥屋さんが見える。焼き鳥屋さんといっても飲み屋ではなく、焼き鳥を販売している店だ。たぶん50年くらい前からその場所にあり、夫婦と何人かの従業員で切り盛りしている。</p> <p>焼き鳥を何度か買って帰ったけれど、タレもシオも真っ当(≒極端に安いわけではないが高くはない)な値段で、とてもおいしい。井之頭五郎さんが通りがかったら絶対何本か買って公園のベンチで食べていくであろうタイプの店。</p> <p>焼き鳥屋さんはとても繁盛している。夕方にはいつも列ができていて、見ているそばから飛ぶように売れていく。その様子を窓際席から眺める。</p> <p>すごく忙しそうだけど、人手不足だからとかブラックな職場だからとかではなく<strong>「商売が繁盛しているから」</strong>という、シンプルで伝統的でポジティブな忙しさだ。</p> <p>そんなタイプの忙しさも、ごく普通に永久にどこにでもあると思っていたら、いつの間にか貴重になってしまったもののひとつだ。</p> takwordpiece 見逃された公私にわたる小さな情報の数々 hatenablog://entry/6801883189049784010 2023-10-12T12:04:47+09:00 2023-10-12T12:05:18+09:00 近所の小さな医院で新型コロナウィルスのワクチン接種を受けた。 予約時間は14時45分だったので、その5分ほど前に医院に行った。すると入り口の鍵は閉まっており、院外に3人が並んで待っていた。14時45分ぴったりに受け付けを開始するが、それまで中には入れないとのことだった。 ぼくは列の最後尾に並んだ。 しばらくして夫婦と思われる初老の男女がやってきた。男性(以下、だんなさん)が扉を押して中に入ろうとしたが、やはり鍵は閉まっていた。受け付けの人が中から出てきて「間もなく受け付けを開始しますのでもうしばらくお待ちください」と言った。だんなさんは「なんだ、入れないのか」とつぶやいた。 だんなさんはそのま… <p style="font-weight: 400;">近所の小さな医院で新型コロナウィルスのワクチン接種を受けた。</p> <p style="font-weight: 400;">予約時間は14時45分だったので、その5分ほど前に医院に行った。すると入り口の鍵は閉まっており、院外に3人が並んで待っていた。14時45分ぴったりに受け付けを開始するが、それまで中には入れないとのことだった。</p> <p style="font-weight: 400;">ぼくは列の最後尾に並んだ。</p> <p style="font-weight: 400;">しばらくして夫婦と思われる初老の男女がやってきた。男性(以下、だんなさん)が扉を押して中に入ろうとしたが、やはり鍵は閉まっていた。受け付けの人が中から出てきて「間もなく受け付けを開始しますのでもうしばらくお待ちください」と言った。だんなさんは「なんだ、入れないのか」とつぶやいた。</p> <p style="font-weight: 400;">だんなさんはそのまま入り口の脇に腕組みをして立った。すでに並んでいる人がいるとは夢にも思わないようだった。女性(以下、奥さん)は列の存在に気づいているようで気にするそぶりを見せていたが、何も言わずだんなさんの後ろに立った。</p> <p style="font-weight: 400;">数分後に扉が開き、受け付けの人が「ワクチン接種の方、どうぞ」と言ったとき、ぼくが(そしておそらく先に並んでいた全員が)予想した通り、だんなさんは迷わず先頭で医院の中に入っていった。</p> <p style="font-weight: 400;">奥さんも続いて中に入ろうとして一瞬躊躇し、列の先頭に並んでいた若い女性に小声で「あのう、大丈夫でしょうか?」とたずねた。若い女性はぼくを含む列の全員と瞬時にアイコンタクトを交わし、コンセンサスが得られていることを確認した。そしてにっこり笑って「ええ、大丈夫ですよ」と言った。奥さんは申し訳なさそうに頭を下げながら旦那さんの後を追った。</p> <p style="font-weight: 400;">全員が特に問題なくワクチン接種を終え、ぼくはそのまま駅前に出てドトールでコーヒーを飲みながら少し作業し、スーパーで買い物して帰った。</p> <p style="font-weight: 400;">だんなさんが、今日この小さな医院の前で自分が見逃していた公私にわたる小さな情報の数々に気づく機会はたぶんないのだろうと思い、少しだけ哀しい気持ちになった。</p> takwordpiece 好ましい軽やか hatenablog://entry/820878482972668897 2023-10-03T11:45:04+09:00 2023-10-04T10:49:32+09:00 隣の部屋の若いカップルは、この夏軽やかに引っ越していった。 暑い夏の午後、友だち数人が手伝いにきて数時間ばたばたしているなと思ううち、あっという間に部屋は空になっていた。その日のうちに管理会社がやってきてドアに暗証番号式のキーを取り付けていった。 四半世紀以上(!)も同じ部屋に住み続けているこちらからすると、その軽やかさがまぶしい。 それ以来、隣は空き部屋になっている。特に大きな物音を発するタイプの人たちではなかったが、それでも壁を通して不在感が伝わってくるのが不思議。 ■ カップルが配達先の更新を忘れたらしく、二度ほど置き配の荷物が空き部屋の玄関前に置かれていた。そのたびに彼女の方が自転車で… <p style="font-weight: 400;"><a href="https://wordpiece.hatenablog.com/entry/2021/03/06/123121">隣の部屋の若いカップル</a>は、この夏軽やかに引っ越していった。</p> <p style="font-weight: 400;">暑い夏の午後、友だち数人が手伝いにきて数時間ばたばたしているなと思ううち、あっという間に部屋は空になっていた。その日のうちに管理会社がやってきてドアに暗証番号式のキーを取り付けていった。</p> <p style="font-weight: 400;">四半世紀以上(!)も同じ部屋に住み続けているこちらからすると、その軽やかさがまぶしい。</p> <p style="font-weight: 400;">それ以来、隣は空き部屋になっている。特に大きな物音を発するタイプの人たちではなかったが、それでも壁を通して不在感が伝わってくるのが不思議。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">カップルが配達先の更新を忘れたらしく、二度ほど置き配の荷物が空き部屋の玄関前に置かれていた。そのたびに彼女の方が自転車で引き取りにやってきた。それほど遠くないところに引っ越したのだろう。</p> <p style="font-weight: 400;">二度目のとき玄関前でたまたま顔を合わせたので「あ、こんちわー」みたいな挨拶を交わした。朝のゴミ出しのときに交わす挨拶と変わらない。</p> <p style="font-weight: 400;">その後置き配は来ていないから、きっともう顔を合わせることはないだろう。</p> takwordpiece 各種の自由 hatenablog://entry/820878482968944358 2023-09-19T23:55:55+09:00 2023-09-19T23:55:55+09:00 夢を持たない自由もある。 心を開かない自由もある。 内に籠る自由もある。 友だちを100人も作りたくない自由もある。 インプットしたことをアウトプットしない自由もある。 こだわらない自由もある。 輝かない自由もある。 3回ノックしない自由もある。 コスパを気にしない自由もある。 シェアしない自由もある。 <p>夢を持たない自由もある。</p> <p>心を開かない自由もある。</p> <p>内に籠る自由もある。</p> <p>友だちを100人も作りたくない自由もある。</p> <p>インプットしたことをアウトプットしない自由もある。</p> <p>こだわらない自由もある。</p> <p>輝かない自由もある。</p> <p>3回ノックしない自由もある。</p> <p>コスパを気にしない自由もある。</p> <p>シェアしない自由もある。</p> takwordpiece 倉下忠憲さんの新刊『ロギング仕事術』について hatenablog://entry/820878482967725923 2023-09-15T19:43:54+09:00 2023-09-19T23:58:43+09:00 ※この記事は9月14日に配信された「うちあわせCast 第134回:Tak.さんと『ロギング仕事術』について」のために作ったアウトラインを元にしています。同配信のために、著者には事前に献本していただいています。 9月14日発売の倉下忠憲さんの新刊『ロギング仕事術:課題に気づく、タスクが片づく、成果が上がる』を読みました。 倉下さんといえば、これまでタスク管理やノート術などノウハウの解説本、もしくはEvernoteやScrapboxなどツールの解説本を多く出されてきたのですが、今回はけっこうビジネスパーソンよりの「仕事術」の本です。 位置づけとしては、『すべてはノートからはじまる』のスピンオフ的… <p style="font-weight: 400;"><span style="color: #666666; font-size: 80%;">※この記事は9月14日に配信された<a href="https://podcasters.spotify.com/pod/show/rashita/episodes/Tak-e29a93v">「うちあわせCast 第134回:Tak.さんと『ロギング仕事術』について」</a>のために作ったアウトラインを元にしています。同配信のために、著者には事前に献本していただいています。</span></p> <hr /> <p style="font-weight: 400;">9月14日発売の倉下忠憲さんの新刊<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93-%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%80%81%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%8C%E7%89%87%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%80%81%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B-%E5%80%89%E4%B8%8B%E5%BF%A0%E6%86%B2/dp/4804719024?crid=QOLZY7LUIR5B&amp;keywords=%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93&amp;qid=1694766455&amp;sprefix=%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%2Caps%2C226&amp;sr=8-1&amp;linkCode=ll1&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=5b8ac550e142b892d44b5cd99143b7ce&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_tl">『ロギング仕事術:課題に気づく、タスクが片づく、成果が上がる』</a>を読みました。</p> <p><a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93-%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%80%81%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%8C%E7%89%87%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%80%81%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B-%E5%80%89%E4%B8%8B%E5%BF%A0%E6%86%B2/dp/4804719024?crid=QOLZY7LUIR5B&amp;keywords=%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93&amp;qid=1694766455&amp;sprefix=%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%2Caps%2C226&amp;sr=8-1&amp;linkCode=li3&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=c686ec1dd899e29c4e36ffab0c5b88c5&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_il" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=4804719024&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=locallog-22&amp;language=ja_JP" style="display: block; margin-left: auto; margin-right: auto;" /></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=locallog-22&amp;language=ja_JP&amp;l=li3&amp;o=9&amp;a=4804719024" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /></p> <p style="font-weight: 400;">倉下さんといえば、これまでタスク管理やノート術などノウハウの解説本、もしくはEvernoteやScrapboxなどツールの解説本を多く出されてきたのですが、今回はけっこうビジネスパーソンよりの「仕事術」の本です。</p> <p style="font-weight: 400;">位置づけとしては、<a href="https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93-%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%80%81%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%8C%E7%89%87%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%80%81%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B-%E5%80%89%E4%B8%8B%E5%BF%A0%E6%86%B2/dp/4804719024?crid=QOLZY7LUIR5B&amp;keywords=%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93&amp;qid=1694766455&amp;sprefix=%E3%83%AD%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0%2Caps%2C226&amp;sr=8-1&amp;linkCode=ll1&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=5b8ac550e142b892d44b5cd99143b7ce&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_tl">『すべてはノートからはじまる』</a>のスピンオフ的な本だと感じました。同書で提案されたさまざまな「ノート」のあり方のひとつ、ということですね。実際、「ロギング仕事術」という言葉はすでに同書の中に出てきています。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">以下が目次です。</p> <blockquote> <p>第1章 記録とともに進めるロギング仕事術<br />第2章 ロギング仕事術の進め方<br />第3章 ログから思考を起動する<br />第4章 応用的ロギングパターン<br />第5章 シンプルなメソッドで「考える」を取り戻す<br />クイックガイド ロギング仕事術を進めていくための6つの指針</p> </blockquote> <p>チートでもハックでもない、圧倒的に非常識なスゴいやり方でもない、正面からのストレートな仕事術本です。ツールや環境に依存せず、誰でもすぐ始められて、シンプルで挫折しにくく、どんな仕事にも適用できて、長く続ければその分成果が上がる。そんな「地に足のついた」仕事術、という印象を受けました。</p> <p style="font-weight: 400;">それにしても、第5章がいかにも倉下さんらしい。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">読んでいて気づくのは、多くの仕事術の本に出てくるであろう「効率化」とか「省力化」とか「生産性」といったワードが強調されていないことです(そもそも、それらが目的ではないと明示されています)。</p> <p style="font-weight: 400;">一方で前面に出ているのが「考える」ことです。なんのための「ロギング仕事術」かといえば、「考える」を取り戻すことなのです。例の第5章のメッセージですね。</p> <p style="font-weight: 400;">これはぼくの個人的な感覚ですが、今は「考えなくていい」という直接間接のメッセージがあらゆる場所に溢れていて、それが多くの人を不幸にしているような気がします。なので、仕事術の中での「考える」の復権は、とても共感するところです。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">紹介される方法論自体は非常にシンプルなので、ここで内容を紹介することは避けますが、キモは「ロギング」という言葉です。「ログ log」ではなく「ロギング logging」。進行形なんですね。</p> <p style="font-weight: 400;">新しい、革新的な手法を期待する向きには、単に「ログを取りましょう」と言われても「何を今さら」感があるかもしれません。</p> <p style="font-weight: 400;">でも「ロギング仕事術」のコンセプトは「記録とともに仕事を続ける」こと。この<strong>「ともに」</strong>という部分、つまり進行形であることが重要だし、通常イメージする「ログ」、「記録」とはちょっと違うところです。</p> <p>進行形のロギングがなぜいいのか。</p> <p style="font-weight: 400;">まず、想像してみるとわかるのですが、後から記録するのは大変です。時間が経てば忘れるし、仕事を終えた後で(ひとつの仕事を終えた後にしても、一日の最後にしても)振り返って記録を書くというのは、けっこう気力を要します。</p> <p>「記録とともに仕事を続ける」ことがいちばん楽なのです。</p> <p style="font-weight: 400;">そしてもうひとつ。</p> <p style="font-weight: 400;">本書で言うところの「ログ」は、「やったこと」の記録というだけでなく、「やろうとしていること」の記録──つまり一般的にタスクリストと呼ばれるもの──まで含みます。そのあたりも、いわゆる「記録」とか「ログ」のイメージとは異なるかもしれません。</p> <p>■</p> <p style="font-weight: 400;">ロギング仕事術によってどんないいことがあるのか……という話は本書を読んでほしいのですが、ひと言で言えば仕事と「ともに」書かれたログは、私たちの仕事、そして生活を「考える」ための素材になるのです。</p> <p style="font-weight: 400;">一か所だけ引用しましょう。</p> <blockquote> <p> 記録を残すことには、少しの手間がかかりますが、「考える」ためにはそれが必要なのです。</p> <p> <strong>効率のためではなく、考えるためにこそ記録を残すこと。</strong></p> <p> もっと言えば、記録がなければ考えられなかったようなことが、考えられるようになること。</p> <p style="text-align: right;">(強調は原文)</p> </blockquote> <p style="font-weight: 400;">もちろん、「考える」ことによって自分と仕事との関係、ひいては仕事自体が変化してくるであろうことも、想像がつきますね。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">「ロギング仕事術」には即効的な効果もちゃんとあります。ひとつあげるとすれば、脱線からの回復です。</p> <p style="font-weight: 400;">現代の環境は脱線のタネに事欠きません。上司や同僚が割り込んでくる場合もあるし、ネットで調べものをしていたはずが面白い記事を見つけてそのまま脱線してしまうということもある。脱線を防ぐことは極めて困難です。</p> <p style="font-weight: 400;">そしてもっと難しいのは脱線から本線に戻ること。</p> <p style="font-weight: 400;">でも、もし自分が「何をしようと思った」のかログが残っていたら。これによって、仮に脱線したとしても、本線に戻りやすくなるわけです。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">「そんな何もかもを記録していたら肝心の仕事をする時間がなくなるのでは」と思う人がいるかもしれませんが、だからこそ何を記録し、何を記録しないのかが大切になります。</p> <p style="font-weight: 400;">本書では、そのあたりの塩梅はもちろん、ロギングをどのように始めるか、慣れてきてからの応用──などが順を追って解説されています。</p> <p style="font-weight: 400;">特別なツールも環境も必要とせず、コストもかけず、気軽に始められる方法なので、これまでログ/記録に挫折してきた人も、試してみる価値はあるのではないでしょうか(ツール・環境を問わないのは事実ですが、常に手元に置いて使えるデジタルツールがあることがベストでしょう)。</p> <p style="font-weight: 400;">ぼく自身も、本書の方法をさっそく一部取り入れさせてもらいました(もちろんアウトライナーを使います。具体的にはDO-DAYSのアウトラインの運用方法が一部変化しました)。</p> <p style="font-weight: 400;">■</p> <p style="font-weight: 400;">冒頭にも書いた通り、この記事は9月14日に配信された<a href="https://podcasters.spotify.com/pod/show/rashita/episodes/Tak-e29a93v">「うちあわせCast 第134回:Tak.さんと『ロギング仕事術』について」</a>のために作ったアウトラインが元になっています。ここには書ききれなかった疑問点、自分と考え方が違うなと思った点なども含めて、1時間半じっくり語っていますので、興味のある方はぜひ。</p> <p><iframe src="https://anchor.fm/rashita/embed/episodes/Tak-e29a93v" height="102px" width="400px" frameborder="0" scrolling="no"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://podcasters.spotify.com/pod/show/rashita/episodes/Tak-e29a93v">podcasters.spotify.com</a></cite></p> takwordpiece 他人の欲望 hatenablog://entry/820878482966398429 2023-09-10T23:24:11+09:00 2023-09-10T23:24:11+09:00 時代を生き抜くために「自分の市場価値」的なものを意識せざるを得ないのは事実としても(事実だよね)、その言葉自体を価値あるもののごとく連呼されると、世界の居心地がやや悪くなってくる。 ■ 某転職サイトの広告の話。 ■ 「自分の市場価値」的なものの必要性を受け止め、したたかに現実的に行動することは大事だけれど、個人としての自分が市場なんかに価値を決められてたまるかとは思っていたい。 その必要性を教えてくれる広告の中は別として、親愛なる個人のみんなには、そんな言葉を嬉々として口にしないでほしい。 ■ それは他人の欲望のことだ。 <p>時代を生き抜くために「自分の市場価値」的なものを意識せざるを得ないのは事実としても(事実だよね)、その言葉自体を価値あるもののごとく連呼されると、世界の居心地がやや悪くなってくる。</p> <p>■</p> <p>某転職サイトの広告の話。</p> <p>■</p> <p>「自分の市場価値」的なものの必要性を受け止め、したたかに現実的に行動することは大事だけれど、個人としての自分が市場なんかに価値を決められてたまるかとは思っていたい。</p> <p>その必要性を教えてくれる広告の中は別として、親愛なる個人のみんなには、そんな言葉を嬉々として口にしないでほしい。</p> <p>■</p> <p>それは<a href="https://wordpiece.hatenablog.com/entry/2023/09/04/003011">他人の欲望</a>のことだ。</p> takwordpiece Bike Outlinerをとても気に入っている hatenablog://entry/820878482965806939 2023-09-08T22:14:16+09:00 2023-09-08T22:33:01+09:00 Bike Outliner(以下Bike)は近年でいちばん気に入ったアウトライナーかもしれない。 BikeはMacのネイティブアプリであり、当然Macでしか使えない。1年ぐらい前に数週間試用しとても良いと思いつつ常用に至らなかったのは、現代の環境でMacでしか使えないというのはさすがに厳しいと思ったから。 Macでしか使えないというのはもちろん今も変わっていないのだが、最近あらためて使ってみたところ、そんなことがどうでもよくなるくらいBikeが気に入ってしまった。 「使っていて気持ちいい」ことは便利さよりも重要(なこともある) https://t.co/H7Pcdd4nxv — Tak. (@… <p>Bike Outliner(以下Bike)は近年でいちばん気に入ったアウトライナーかもしれない。</p> <p>BikeはMacのネイティブアプリであり、当然Macでしか使えない。1年ぐらい前に数週間試用しとても良いと思いつつ常用に至らなかったのは、現代の環境でMacでしか使えないというのはさすがに厳しいと思ったから。</p> <p>Macでしか使えないというのはもちろん今も変わっていないのだが、最近あらためて使ってみたところ、そんなことがどうでもよくなるくらいBikeが気に入ってしまった。</p> <blockquote class="twitter-tweet" data-conversation="none" data-lang="ja"> <p dir="ltr" lang="ja">「使っていて気持ちいい」ことは便利さよりも重要(なこともある) <a href="https://t.co/H7Pcdd4nxv">https://t.co/H7Pcdd4nxv</a></p> — Tak. (@takwordpiece) <a href="https://twitter.com/takwordpiece/status/1696036811737584101?ref_src=twsrc%5Etfw">2023年8月28日</a></blockquote> <p> <script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> </p> <p>書いたことを指先でくるくる操作するうちに、考えの全体像が浮上してくるような感覚を、ひさしぶりに味わえたような気がした。昔初めてMacのアウトライナーを使ったときに味わった感覚だ。</p> <p>アウトライナーについてあれだけ語っていながらこの感覚をしばらく忘れていたかも、とちょっと怖くなったりもした。</p> <p>Bikeという名は、もちろんスティーブ・ジョブズの言葉「知的自転車」から来ている。Bikeのユーザーズガイドの冒頭には</p> <blockquote> <p>私たちは自転車を約束されたはずなのに空母を手にすることになった。<br />(Jonathan Edwards)</p> </blockquote> <p>という言葉が引用されている。Bikeは空母ではなく自転車だ、という宣言だ。</p> <h3 id="Bikeの魅力">Bikeの魅力</h3> <p>Bikeの雰囲気は、以下のページの動画を見るだけで充分伝わってくると思う。</p> <p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.hogbaysoftware.com%2Fbike%2F" title="Bike Outliner: Structured &amp; focused writing app for Mac" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" loading="lazy"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.hogbaysoftware.com/bike/">www.hogbaysoftware.com</a></cite></p> <p>具体的に気に入った点をいくつかあげてみよう。</p> <h4 id="絶妙なバランス">絶妙なバランス</h4> <p>Bikeの大きな特徴は、厳密さとゆるさの絶妙なバランス。その代表は、アウトライナーのくせに階層構造の制約がゆるいところ。</p> <p>たとえば第1階層の下に第3階層を作れるのだ。もちろん論理構造上は、第1階層の下に第3階層が作れたらおかしい。でもこれ、考えながら文章を書くときにはやりたいことが多々あるのだ。それをわかってくれている、というのがうれしい。</p> <h4 id="エディタでありアウトライナーでもある">エディタでありアウトライナーでもある</h4> <p>アウトライン編集モードとテキスト編集モードが分かれている。これはデイブ・ワイナーのThinkTankに始まる初期のアウトライナーの流儀だ(OmniOutlinerなどに引き継がれている)。</p> <p>テキスト編集モードでは、Bikeの使用感はほぼテキストエディタになる。インデントしなければ、シンプルなテキストエディタとして使えるくらい。</p> <p>Bikeはテキストエディタとして自然に動作してくれる。行の途中で上の行にカーソルを動かしたとしたら、カーソルは同じ位置に自然に動いてくれる。「リスト」ではなく「文章」を扱うときには大切な機能だ(WorkFlowyだと、行の途中でカーソルを上下に動かしたときに、カーソルが行頭に飛んでしまう)。</p> <p>一方Escキーをたたけば、カーソルが行カーソルに変わり、アウトライン編集モードに入る。このモードでは、折りたたみ・展開、入れ替えなどのアウトライン操作が自由自在にできる。矢印キーひとつで下位階層から親項目を折りたためるのもけっこう重要なポイント。</p> <p>以前から、アウトライナーの機能は本来はカット・コピー・ペーストと同じくらい基本的なテキストエディタの一機能であるべきだと個人的に思っているのだが、Bikeはそれに近いものがある。</p> <p>アウトライナーはテキストエディタであるべきなんですよ。</p> <h4 id="複数ウィンドウ">複数ウィンドウ</h4> <p>ひとつのファイルを複数のウィンドウで開ける。そして、両方独立して折りたたみ・展開ができる。これが地味にありがたい。</p> <p>不思議なことに、これができるアウトライナーは少ない。せめてウィンドウ分割ができればいいのだが、OmniOutlinerなどはそれもできないから、大きなアウトラインで離れた箇所間で移動するときに苦労することがある。</p> <p>WorkFlowyやDynalistはプラウザのウィンドウを複数開くことでそれができるというのが、実は大きなアドバンテージだった。</p> <p>Wordはひとつのファイルを複数ウィンドウで開けるので、ページレイアウトの状態とアウトライン表示の状態で並べておくことができて嬉しいのだが、両ウィンドウともアウトラインモードの場合、一方のウィンドウで行った折りたたみ・展開操作がもう一方のウィンドウにも反映されてしまう。</p> <h4 id="大きなアウトラインに強いらしい">大きなアウトラインに強い(らしい)</h4> <p>「らしい」というのは、ぼく自身が今のところ2万字くらいまでしか扱ったことがないからなのだが、Bikeはこの程度ではビクともしないし、スピードもまったく変わらない。</p> <p>OmniOutlinerは(ぼくの使っているインテルプロセッサ時代のMBAだと特に)、このくらいでもけっこう速度が厳しくなってくる。</p> <h4 id="書式の扱い方">書式の扱い方</h4> <p>ぼくは基本的にはアウトライナーに書式は不要だと思っているのだが、それでも、ときどきちょっとだけ書式を変えたいことがある。</p> <p>フルスペックのワープロみたいに書式を設定できる必要はない(むしろそんなことはできない方がいい)。階層ごとにスタイルシートを適用できたりする必要もない(Wordのようなプロダクト型アウトライナーならそれは必要だが、Bikeはそうではない)。</p> <p>Bikeはフォントや書式をある程度指定することができる。この「ある程度」具合が実に気が利いている。詳しくはBikeの説明を読んでほしいけれど、書式に関してできることとできないこと、そしてできることの実現方法が絶妙なのだ。</p> <h3 id="新旧へのリスペクト">新旧へのリスペクト</h3> <p>これは完全に好みの話なのだが、古くからのアウトライナー使いとして嬉しくなってしまうのは、Bike にアウトライナーの歴史に対するリスペクトを感じるところだ。使っていて思わず微笑んでしまうようなところがある。</p> <p>上でも書いたとおり、アウトライン編集モードとテキスト編集モードの分け方などは初期のThinkTankやMOREの流儀だし、行頭に大きな丸いバレットではなくトライアングルを使っているあたりも、Macのアウトライナーで育った身としては嬉しい。</p> <p>一方でWorkFlowy以降のモダンなアウトライナーの良いところもちゃんと取り入れている。低迷していたアウトライナーというジャンルを復活させた(とぼくは思っている)新しいアウトライナーたちへのリスペクトも感じる。最近追加されたナビゲーションバー(どこにフォーカスしているのか示すパンくずリスト)などはその典型だ。</p> <h3 id="空母ではなく自転車">空母ではなく自転車</h3> <p>紹介した以外にもBikeには気が利いた細かい特性がたくさんあるので、Macユーザーでアウトライナーに興味がある人はぜひ試用してみてほしい。</p> <p>個人的な要望はまだまだあるけれど(巨大ファイルを高速で扱えるだけに検索機能をもう少し充実させてほしいとか)、今の時点でもBikeは「自転車」を名乗るのにふさわしいアウトライナーだと思う。</p> <p>ということで、今はけっこう喜んでいるところ(そしてiPhoneと同期したい日々のアウトラインと使い分けなければならないことに悩んでいるところ)。</p> takwordpiece 欲望について hatenablog://entry/820878482964366935 2023-09-04T00:30:11+09:00 2023-09-04T00:30:11+09:00 欲望の機能2023 自分が本当は何を望んでいて、どっちの方向にいきたいのか教えてくれる機能を、人間はちゃんと持っている。それは広い意味での「欲望」と呼ばれる。 ものごとを過度にプランするべきでないのは、欲望に対して目が曇るからだ。 すごく単純な例でいえば、どんなに理想的な条件(スペック)を備えた相手が現れたとしても、その人に触れたり触れられたくないとしたら、人生を共にすることはできない。 相手の振る舞い、声、匂い、言葉の選び方、食べ方、仕草、表情に違和感があったら、人生を共にすることはできない(そういうものがどれだけ重要かは、他人と暮らしたことがある人ならわかるはずだ)。 そこで過度にプランし… <h3 id="欲望の機能2023">欲望の機能2023</h3> <blockquote> <p>自分が本当は何を望んでいて、どっちの方向にいきたいのか教えてくれる機能を、人間はちゃんと持っている。それは広い意味での「欲望」と呼ばれる。</p> <p>ものごとを過度にプランするべきでないのは、欲望に対して目が曇るからだ。</p> <p>すごく単純な例でいえば、どんなに理想的な条件(スペック)を備えた相手が現れたとしても、その人に触れたり触れられたくないとしたら、人生を共にすることはできない。</p> <p>相手の振る舞い、声、匂い、言葉の選び方、食べ方、仕草、表情に違和感があったら、人生を共にすることはできない(そういうものがどれだけ重要かは、他人と暮らしたことがある人ならわかるはずだ)。</p> <p>そこで過度にプランしようとすると(ロジカルな判断を優先すると、あるいは「言葉で説明できる」ことを優先すると)、たぶんあまりいい結果にはならない。だからこそ、すべての基準になる「欲望」が健全であることは重要だ。</p> </blockquote> <p style="text-align: right;">(<a href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01N2ICG1Z?&amp;linkCode=ll1&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=f35dacdf52a95d596013dd50ebaa2460&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_tl">『Piece shake Love』</a>より、一部修正)</p> <h3 id="欲望の再確認">欲望の再確認</h3> <p>欲望を確認するもっとも優れた方法は、もちろんフリーライティングだ。</p> <p>時間を決めて、頭に浮かぶことをただ書く。言葉を選んだり修正したりしない。ただ書く。自分は何が欲しいのか。本当はどうありたいのか。</p> <p>書いてみると、いろいろ気づくこと、思い出すことがある、と思う。それは自分の欲望を再確認することだ。</p> <p>欲望が再確認できれば──「本当はどうありたいのか」納得できる形で書ければ──個人的問題の8割くらいは解決してしまうと個人的には思っている。</p> <p>残りの2割こそが、本当の問題だ。</p> <h3 id="欲望の定義">欲望の定義</h3> <p>欲望という言葉を聞いてぼくがイメージするものは、多くの人がイメージするそれとはずいぶん異なっているようだ。「欲望」と言った瞬間に眉をひそめる人がけっこういるから。</p> <p>手元の辞書によれば、欲望とは<strong>「ほしいと思う心。不足を満たそうと強く求める気持ち」</strong>だ。</p> <p>別の言葉を使うべき、と言われることもあるけれど、ぼくはそうは思わない。</p> <h3 id="道具と環境">道具と環境</h3> <p>欲望を確認するための(つまり書くための)道具と環境を持っていることは、長い時間の中では大きな違いになる、と思う。</p> <p>昔なら「日記」がその役割を果たすことが多かったと思う。日記は今でも有効だけれど、周知の通り継続にハードルがある。</p> <p>今なら、さまざまな形で欲望を「表現」として提示することができる。それは継続のためのモチベーションになるだろう。</p> <h3 id="礼儀">礼儀</h3> <p>書かれた欲望はそのまま表に出すものではない。それは礼儀(politeness)の問題だ。でも、欲望を他人に見せられる形に加工・抽出したものは、しばしば独特の迫力を持つ。</p> <p><a href="https://takpluspluslog.blog.ss-blog.jp">旧WordPiece</a>はギリギリ礼儀の範囲内に収めていたつもりだったけれど、今見ると若干ラインを超えていたかもしれない。</p> <p>あるいは、そう感じるのは年を取ったからかもしれない。</p> takwordpiece 【告知】Tak.のKindle本5冊が「夏の超ビッグセール」対象になっています hatenablog://entry/820878482942876940 2023-06-21T11:12:35+09:00 2023-06-21T11:20:39+09:00 6月20日より7月12日までの間実施されるKindleストア「夏の超ビッグセール」の対象に以下の拙著・共著が選ばれております。それぞれ通常のほぼ半額となっています。 ■ 『アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術』 ■ 『書くためのアウトライン・プロセッシング: アウトライナーで発想を文章にする技術』 ■ 『思考のOSとしてのアウトライナーを通じて「個人的」情報ツールについて考える: 文章を書き、考える人のための「アウトライナー」活用術 情報整理大全』 ■ 『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』(千葉雅也さんへのインタビュー) ■ 『Re:v… <p>6月20日より7月12日までの間実施されるKindleストア「夏の超ビッグセール」の対象に以下の拙著・共著が選ばれております。それぞれ通常のほぼ半額となっています。</p> <p>■</p> <p>『アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術』</p> <p><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00XCIETIG?&amp;linkCode=li3&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=1c7fcd6871d0f1d8d140f90b0c6da5ae&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_il" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B00XCIETIG&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=locallog-22&amp;language=ja_JP" /></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=locallog-22&amp;language=ja_JP&amp;l=li3&amp;o=9&amp;a=B00XCIETIG" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /></p> <p>■</p> <p>『書くためのアウトライン・プロセッシング: アウトライナーで発想を文章にする技術』</p> <p><a href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09K7LPSWF?&amp;linkCode=li3&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=5f02b97fd04eecb45102988b6799b4ec&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_il" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B09K7LPSWF&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=locallog-22&amp;language=ja_JP" /></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=locallog-22&amp;language=ja_JP&amp;l=li3&amp;o=9&amp;a=B09K7LPSWF" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /></p> <p>■</p> <p>『思考のOSとしてのアウトライナーを通じて「個人的」情報ツールについて考える: 文章を書き、考える人のための「アウトライナー」活用術 情報整理大全』</p> <p><a href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09KQMW3DC?&amp;linkCode=li3&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=9538de630337420f1c14968e34bc1b3f&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_il" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B09KQMW3DC&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=locallog-22&amp;language=ja_JP" /></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=locallog-22&amp;language=ja_JP&amp;l=li3&amp;o=9&amp;a=B09KQMW3DC" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /></p> <p>■</p> <p>『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』(千葉雅也さんへのインタビュー)</p> <p><a href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B084D688J1?&amp;linkCode=li3&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=1bf6eee8569bc1219b77190f7155b658&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_il" target="_blank" rel="noopener"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B084D688J1&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=locallog-22&amp;language=ja_JP" /></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=locallog-22&amp;language=ja_JP&amp;l=li3&amp;o=9&amp;a=B084D688J1" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /></p> <p>■</p> <p>『Re:vision: タスクリストとアウトライン』(倉下忠憲さんとの共著)</p> <p><a href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09PKZWS5G?&amp;linkCode=li3&amp;tag=locallog-22&amp;linkId=ab028d0451f50083d64297df26c63fa3&amp;language=ja_JP&amp;ref_=as_li_ss_il" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&amp;ASIN=B09PKZWS5G&amp;Format=_SL250_&amp;ID=AsinImage&amp;MarketPlace=JP&amp;ServiceVersion=20070822&amp;WS=1&amp;tag=locallog-22&amp;language=ja_JP" /></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=locallog-22&amp;language=ja_JP&amp;l=li3&amp;o=9&amp;a=B09PKZWS5G" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border: none !important; margin: 0px !important;" /></p> <p>■</p> <p>『アウトライン・プロセッシング入門』と『Re:vision』以外はセール対象になるのは初めてだった、と思います。</p> <p>ということで、この機会にぜひお求めください。</p> takwordpiece 巻き込まれることについて hatenablog://entry/820878482935592832 2023-05-26T00:05:04+09:00 2023-05-26T00:05:04+09:00 よく「周囲をどんどん巻き込んでいく」みたいなのがリーダーシップ的に好ましい行動とされることがあるけど、個人的には「巻き込まれる」のは好きじゃないです。 ある人の行動に結果的に「巻き込まれる」ことはあるだろうけど、それはその人/行動に敬意や好意があるからであって、周囲を巻き込もうとする行動故ではない、と思う。 <p>よく「周囲をどんどん巻き込んでいく」みたいなのがリーダーシップ的に好ましい行動とされることがあるけど、個人的には「巻き込まれる」のは好きじゃないです。</p> <p>ある人の行動に結果的に「巻き込まれる」ことはあるだろうけど、それはその人/行動に敬意や好意があるからであって、周囲を巻き込もうとする行動故ではない、と思う。</p> takwordpiece On Raw-guys hatenablog://entry/820878482935338643 2023-05-25T00:08:01+09:00 2023-05-25T00:08:01+09:00 老人の中にかつて若かった自身が生きているように、若者の中にもやがて老いる自身が生きている。 「老人は自分たちとは違う生き物」だとは考えない方がいい。子どもの頃に「大人は自分たちとは違う生き物」だと考えていたのは間違いだったと感じたことがあるなら想像がつくはず。 老害という言葉を使いたくなる状況は残念ながら(たくさん)存在するが、その要因を「老」にのみ帰して「若」との対立としてしか捉えないでいると、高い確率で自分自身が老害になる。 (隣町のそのまた隣町の権藤さんが言ってた) <p>老人の中にかつて若かった自身が生きているように、若者の中にもやがて老いる自身が生きている。</p> <p>「老人は自分たちとは違う生き物」だとは考えない方がいい。子どもの頃に「大人は自分たちとは違う生き物」だと考えていたのは間違いだったと感じたことがあるなら想像がつくはず。</p> <p>老害という言葉を使いたくなる状況は残念ながら(たくさん)存在するが、その要因を「老」にのみ帰して「若」との対立としてしか捉えないでいると、高い確率で自分自身が老害になる。</p> <p>(隣町のそのまた隣町の権藤さんが言ってた)</p> takwordpiece 個人の総合的な感じ hatenablog://entry/820878482935080520 2023-05-24T00:09:11+09:00 2023-05-24T00:09:11+09:00 旧Word Pieceの初期の記事を見ると、数行、極端な場合は1行しかない記事があったりする。今だったらツイートにするような記事。当時は別にめずらしいことではなかったと思う。今のブログの常識からすればおそらくあまりやるべきではないことかもしれないけれど、個人的にはそういう記事が好きだった。 この種の記事のメリットとして、通常なら「ブログに書くほどでもない」規模のネタを書ける、というのがある。「ちゃんとした記事」に限定したならば書かれないことが書かれるのだ。実際、旧Word Pieceでは、そんな「ブログに書くほどでもない」断片の中に、けっこう大事なことが書かれていたという感触がある。 あと、個… <p><a href="https://takpluspluslog.blog.ss-blog.jp">旧Word Piece</a>の初期の記事を見ると、数行、極端な場合は1行しかない記事があったりする。今だったらツイートにするような記事。当時は別にめずらしいことではなかったと思う。今のブログの常識からすればおそらくあまりやるべきではないことかもしれないけれど、個人的にはそういう記事が好きだった。</p> <p>この種の記事のメリットとして、通常なら「ブログに書くほどでもない」規模のネタを書ける、というのがある。「ちゃんとした記事」に限定したならば書かれないことが書かれるのだ。実際、旧Word Pieceでは、そんな「ブログに書くほどでもない」断片の中に、けっこう大事なことが書かれていたという感触がある。</p> <p>あと、個人的に「ランダムノート」と呼んでいたタイプの記事。数行の断片を複数組み合わせたようなやつ。これは今でもときどきやる。場合によっては関係ない複数の断片の組み合わせになるのだが(ランダムに書かれた断片をアウトライナーの中でくりくりと動かした結果なので)、そうしてひとつの記事の体裁を取ることで、組み合わせることによってもともと関係なかった断片が実は関係あるかのように思えてきたりもする。</p> <p>今ならツイートにするような短い記事と、ランダムノートと、まとまった「記事」が混ざっている、そういう<strong>個人の総合的な感じ</strong>が自分の思うブログの面白さだった。昨今のもろもろでTwitterとの付き合い方をどうするかと考えたとき、まず思ったのは「また昔みたいなブログを書けばいいじゃん」ということだった。</p> <p>しかし<a href="https://wordpiece.hatenablog.com/entry/2020/03/15/123756">同じようなこと</a>を何度も書いてますね。</p> <p>■</p> <p>そういえばTwitterの(元々の)良さも「個人の総合的な感じ」として表現できるな。</p> takwordpiece 厚めの薄切り hatenablog://entry/820878482934261365 2023-05-21T01:48:26+09:00 2023-05-21T10:26:31+09:00 「現実の世界では『厚めの薄切り』みたいなことが必要なんですよ」 — Tak. (@takwordpiece) 2023年5月20日 上のツイートの言葉はずっと昔、就活でOB訪問したゼミの先輩のもの。 「薄切りの技術」を学んで身につければ何かの役に立つと思いがちだけど、仕事の世界では「厚めの薄切り」を要求され、評価されるのは「薄切りの技術」そのものはもちろん、「厚め」の按配を求められる。単に薄切りの仕方を学んだだけで通用すると思うなよ、現実の社会はもっと複雑で奥深いんだぞ、というような話だったと思う。 そんな大仰な言い方をすることでもないけど、ぜんぜん間違ってはいないと思った(30年経った今でも… <blockquote class="twitter-tweet" data-conversation="none" data-lang="ja"> <p dir="ltr" lang="ja">「現実の世界では『厚めの薄切り』みたいなことが必要なんですよ」</p> — Tak. (@takwordpiece) <a href="https://twitter.com/takwordpiece/status/1659846878840909826?ref_src=twsrc%5Etfw">2023年5月20日</a></blockquote> <p> <script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> </p> <p>上のツイートの言葉はずっと昔、就活でOB訪問したゼミの先輩のもの。</p> <p>「薄切りの技術」を学んで身につければ何かの役に立つと思いがちだけど、仕事の世界では「厚めの薄切り」を要求され、評価されるのは「薄切りの技術」そのものはもちろん、「厚め」の按配を求められる。単に薄切りの仕方を学んだだけで通用すると思うなよ、現実の社会はもっと複雑で奥深いんだぞ、というような話だったと思う。</p> <p>そんな大仰な言い方をすることでもないけど、ぜんぜん間違ってはいないと思った(30年経った今でも覚えているので当時それなりにインパクトがあったのだろう)。</p> <p>■</p> <p>ぼくは理髪店とか美容室でオーダーするということが苦手で(今でもそう)、結果的に「けっこう伸びたのですっきりと、ても切りすぎずに」みたい頼み方をしてしまう。そんなアバウトな注文にもちゃんと答えてカットしてくれる当時通っていた理髪店の親父さんを「すごいなあプロだなあ」と思っていた。</p> <p>「厚めの薄切り」という言葉を聞いて真っ先に頭に浮かんだのはその理髪店の親父さんのことだった。</p> <p>でもあるとき気づいたのは、<strong>その親父さんのカットはどんな注文をしても同じ</strong>ということだった。<strong>それが嫌ならもっと具体的で実効性のある注文しなければならない。</strong>それがぼくがそのとき学んだことだった。</p> <p>■</p> <p>先輩の言うとおり現実の世界は複雑で奥深いのであり、あらためて「すごいなあプロだなあ」と思ったという話。</p> takwordpiece 水曜の朝3:31 hatenablog://entry/4207575160649241065 2023-05-16T00:53:16+09:00 2023-05-16T00:59:20+09:00 Macのファイルを整理していたら、10年以上前にiPhoneで撮った動画を見つけた。 当時働いていた職場で同僚が仕事をしている様子を背中から映したもの。彼女は一心不乱にデータを分析し、資料を作っている。周囲にも何人もの人が同じように黙々と仕事をしている。 画面の右上に時計が写り込んでいる。時計は3:31を指している。動画の撮影時間も同じ。ちなみに午前3:31だ。 職場のこういう映像を撮影してはいけないのだと思うのだが、何かあったときの証拠にと思い立って撮影したのだった。何かってなんだと思うけど、具体的には誰かが死んだとき証拠にするためだ。 だらだらと非効率な仕事をしているから残業が多いのではな… <p>Macのファイルを整理していたら、10年以上前にiPhoneで撮った動画を見つけた。</p> <p>当時働いていた職場で同僚が仕事をしている様子を背中から映したもの。彼女は一心不乱にデータを分析し、資料を作っている。周囲にも何人もの人が同じように黙々と仕事をしている。</p> <p>画面の右上に時計が写り込んでいる。時計は3:31を指している。動画の撮影時間も同じ。ちなみに午前3:31だ。</p> <p>職場のこういう映像を撮影してはいけないのだと思うのだが、何かあったときの証拠にと思い立って撮影したのだった。何かってなんだと思うけど、具体的には誰かが死んだとき証拠にするためだ。</p> <p>だらだらと非効率な仕事をしているから残業が多いのではないことを示すために、水曜の朝3:31に同僚が集中して密度高く仕事をしている様子を残したいと思って。</p> <p>■</p> <p>動画は供養して消した。</p> takwordpiece ニュートラル hatenablog://entry/4207112889983356551 2023-04-22T00:39:01+09:00 2023-04-22T01:00:19+09:00 「せっかく奮発して(気に入るだろうと思って)買ったねこちぐらやキャットタワーを猫が使ってくれない」というケースは猫好きならおなじみのことだ。 でも、諦めて物置きに放り込んであったねこちぐらに、ふと気がつくと満足げに入っていたりするのもまた猫だ。 人間の意思や目論みや企みが消えて、ニュートラルな状態になったから、だと思う。ニュートラルにさえなれば、ねこちぐらもキャットタワーも猫が気に入るように作ってあるのだから。 意思や目論みや企みが消えたニュートラルな状態になって、はじめて物ごとの本来のあり方や機能が発動するというのは、ライフ(生活/人生)全般にも当てはまる気がする。 ものすごく気合いの入った… <p>「せっかく奮発して(気に入るだろうと思って)買ったねこちぐらやキャットタワーを猫が使ってくれない」というケースは猫好きならおなじみのことだ。</p> <p>でも、諦めて物置きに放り込んであったねこちぐらに、ふと気がつくと満足げに入っていたりするのもまた猫だ。</p> <p>人間の意思や目論みや企みが消えて、ニュートラルな状態になったから、だと思う。ニュートラルにさえなれば、ねこちぐらもキャットタワーも猫が気に入るように作ってあるのだから。</p> <p>意思や目論みや企みが消えたニュートラルな状態になって、はじめて物ごとの本来のあり方や機能が発動するというのは、ライフ(生活/人生)全般にも当てはまる気がする。</p> <p>ものすごく気合いの入った(店主が人生かけて作った)ラーメンよりも、なんてことない普通味のラーメンの方が食べたいことがあるというのも、ニュートラルな味だからだ(たぶん)。</p> takwordpiece 名前のない望み hatenablog://entry/4207112889982792649 2023-04-19T23:00:22+09:00 2024-01-13T10:47:53+09:00 望みの多くには名前がない。 — Tak. (@takwordpiece) 2023年4月2日 現代の日本に生きていると、「夢」や「やりたいこと」を書け(言葉にしろ)と言われる場面がけっこうある。特に若い人にとってはそうだと思う。 でも、自分の「夢」や「やりたいこと」がうまく言葉にできないという人がいる。言葉にできないどころか、そもそもそんなものはないという人もいる。というか、本当はそういう人の方が多いのではないかという疑いを個人的には持っている。 ぼく自身が昔からそういう質問に悩まされてきたし、適当な「夢」を答えて後悔したこともある。新人研修の担当になって自分自身が新入社員に「夢」を書かせるハ… <blockquote class="twitter-tweet" data-conversation="none" data-lang="ja"> <p dir="ltr" lang="ja">望みの多くには名前がない。</p> — Tak. (@takwordpiece) <a href="https://twitter.com/takwordpiece/status/1642557366196637696?ref_src=twsrc%5Etfw">2023年4月2日</a></blockquote> <p> <script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> </p> <p>現代の日本に生きていると、「夢」や「やりたいこと」を書け(言葉にしろ)と言われる場面がけっこうある。特に若い人にとってはそうだと思う。</p> <p>でも、自分の「夢」や「やりたいこと」がうまく言葉にできないという人がいる。言葉にできないどころか、そもそもそんなものはないという人もいる。というか、本当はそういう人の方が多いのではないかという疑いを個人的には持っている。</p> <p>ぼく自身が昔からそういう質問に悩まされてきたし、適当な「夢」を答えて後悔したこともある。新人研修の担当になって自分自身が新入社員に「夢」を書かせるハメになってうんざりしたこともある。</p> <p>■</p> <p>ぼくたちの望みの多くは言葉にできる形なんかしていないのではないか。「夢」や「やりたいこと」として具体的な言葉にできる望みの方が、むしろ例外なのではないか。</p> <p>望みの多くには名前がないのだ。</p> <p>■</p> <p>毎年年末年始に、フリーライティングの形で自分の願望や欲求について書きだすということをしている。他人に見せることを前提としない、自分の頭に浮かんだことを記録し、確認するためだけの文章(みたいなもの)。</p> <p>それを読み返していて気づくのは、少なくともぼくの場合、望みの多くは名前がつけられるような具体的な行動や成果なんかではなく、ぼんやりした「情景」の形で存在しているということだ。</p> <p>■</p> <p>フリーライティングでくり返し出てくるのは、夕暮れの坂道を下っているイメージだ。</p> <p>一日の仕事を終え、買い物ついでに駅前のいつもの喫茶店でお茶でも飲もうと家を出たところ。喫茶店では妻と待ち合わせている。駅は長い坂道を下ったところにある。</p> <p>そんな情景。</p> <p>たぶん、それがぼくの「夢」なのだ。それは「夢は?」とか「やりたいことは?」と問われるときに期待される内容ではない。</p> <p>■</p> <p>「夢」や「やりたいこと」がうまく言葉にできないという人の中にも、この種の「情景」ならあるという人はいるんじゃないかと思っている。</p> <p>そういう人になら、そんな「情景」を手に入れることが、名前のある「夢」を実現することよりも簡単なわけでは決してないこともわかってもらえる、と思う。</p> takwordpiece せっかく今という時代を生きているのだから hatenablog://entry/4207112889978857373 2023-04-07T18:23:29+09:00 2023-04-07T21:37:41+09:00 「整理」したり「管理」したりするだけではなく、自分のために「考える」ツールを手に入れよう。 職場だけでなく、電車の中で、公園のベンチで、カフェや喫茶店のテーブルで、自分の部屋で、自分のために考え、結論を出すためのツール。 ぼくならアウトライナーを使うけれど、もちろんアウトライナーである必要はない。 自分の手に馴染むお気に入りの「考える」ためのツールであれば何でもいい。それを手元に置き、いつでも使えるようにすること。 そして「タスク管理」や「プロジェクト管理」や「情報整理」という固定観念から(ついでに「ライフハック」や「知的生産」という固定観念から)自由になること。 昔と違ってぼくたちにはスマー… <p>「整理」したり「管理」したりするだけではなく、自分のために「考える」ツールを手に入れよう。</p> <p>職場だけでなく、電車の中で、公園のベンチで、カフェや喫茶店のテーブルで、自分の部屋で、自分のために考え、結論を出すためのツール。</p> <p>ぼくならアウトライナーを使うけれど、もちろんアウトライナーである必要はない。</p> <p>自分の手に馴染むお気に入りの「考える」ためのツールであれば何でもいい。それを手元に置き、いつでも使えるようにすること。</p> <p>そして「タスク管理」や「プロジェクト管理」や「情報整理」という固定観念から(ついでに「ライフハック」や「知的生産」という固定観念から)自由になること。</p> <p>昔と違ってぼくたちにはスマートフォンやタブレットやノートPCがあるのだから(AIだってあるのだから)、自由に考えるためにそれらを使おう。</p> <p>(昭和から平成初期にかけてのPC&知的生産本を大量に読み直しながら考えたこと)</p> takwordpiece ランダムノート2023/03/04 hatenablog://entry/4207112889968467108 2023-03-04T17:56:52+09:00 2023-03-05T21:43:49+09:00 1 自分のしている仕事が「良い」かどうかは、自分がいちばんよくわかっている。 「良い」とわかっている仕事が他人から評価されるとは限らないし、そもそもその仕事が客観的な意味で本当に「良い」とも限らない。でも、自分の仕事が「良い」とわかっていること自体が重要なときがある。 2 心が萎える出来事が重なったり、不確実さのあまり人生を信頼できなかったり、あまりにもやることがたくさんありすぎて頭が飽和してしまったときには、今目の前にあることに集中すること。 皿洗いでも掃除でも料理でもデータ入力でも家族との会話でも移動のために乗っているバスの車窓でも何でもいい。目の前のことに集中し、それ以外考えないようにす… <h3 id="1">1</h3> <p>自分のしている仕事が「良い」かどうかは、自分がいちばんよくわかっている。</p> <p>「良い」とわかっている仕事が他人から評価されるとは限らないし、そもそもその仕事が客観的な意味で本当に「良い」とも限らない。でも、自分の仕事が「良い」とわかっていること自体が重要なときがある。</p> <h3 id="2">2</h3> <p>心が萎える出来事が重なったり、不確実さのあまり人生を信頼できなかったり、あまりにもやることがたくさんありすぎて頭が飽和してしまったときには、今目の前にあることに集中すること。</p> <p>皿洗いでも掃除でも料理でもデータ入力でも家族との会話でも移動のために乗っているバスの車窓でも何でもいい。目の前のことに集中し、それ以外考えないようにすること。一度に2つ以上のDOをアクティブにしないこと。</p> <p>しばらくこれを意識していると、頭にかかった靄のような、しびれのようなものが晴れてクリアになってくることが多い。別にクリアになったからといって問題が解決したりはしないけれど、飽和したままの頭でいるよりずっといい。</p> <h3 id="3">3</h3> <p>言葉をそのまま受けとることはとても大事だ、という話を妻としていた。</p> <p>裏を読んだり斜に構えたりせず、「あなたが好きだ」と言われたら言葉通り「この人は自分が好きなんだ」と受け止めること。「あなたのこういうところが良い」と言われたら言葉通り「自分のこういうところが良いんだ」と受け止めること。</p> <p>もちろん、誰のどんな言葉でもというわけではない(パーソナルなセキュリティが破綻する)。</p> <p>でも、大事な人(友人、恋人、パートナー、仲間、etc.)の言葉をそのまま受け取れないとしたら、それって本当に大事な人なのかという気はする。</p> <p>大事な人の言葉をそのまま受け取った結果として傷ついたり後悔したりする可能性はある(きっとある)としても。</p> <h3 id="35">3.5</h3> <p>「カレーはルウの箱裏に書いてある通りに作るのが結局いちばんおいしい」説(言葉をそのまま受けとる)</p> takwordpiece 焦がれたものリスト hatenablog://entry/4207112889954474986 2023-01-15T17:15:10+09:00 2023-01-15T18:15:39+09:00 自分がどんな欲望を持っているか確かめるために「好きなもの」とか「欲しいもの」についてフリーライティングしてみるということを年末年始の習慣にしている。 で、今年は一歩進めて単に「好きなもの」「欲しいもの」ではなく、「焦がれたもの」を書き出してみた。生きてきた中で、寝ても覚めてもそのことが頭から離れないくらい強く魅かれたモノたち。ここでいう「モノ」は広い意味で捉える。たとえばサービスでもいいし、ソフトウェアでもいいし、概念でもいい。 極めてプライベートなものが含まれるので全体を公開することはしないけれど、たとえばコンパクト型のMac、NeXTCube、マンダラート手帳、BART(サンフランシスコ湾… <p>自分がどんな欲望を持っているか確かめるために「好きなもの」とか「欲しいもの」についてフリーライティングしてみるということを年末年始の習慣にしている。</p> <p>で、今年は一歩進めて単に「好きなもの」「欲しいもの」ではなく、「焦がれたもの」を書き出してみた。生きてきた中で、寝ても覚めてもそのことが頭から離れないくらい強く魅かれたモノたち。ここでいう「モノ」は広い意味で捉える。たとえばサービスでもいいし、ソフトウェアでもいいし、概念でもいい。</p> <p>極めてプライベートなものが含まれるので全体を公開することはしないけれど、たとえばコンパクト型のMac、NeXTCube、マンダラート手帳、BART(サンフランシスコ湾岸高速鉄道。世界でいちばん美しい鉄道だと思っていた。今は汚れちゃったけど)、初期のMac版Word、東急電鉄、ある種の規格化された住宅……などが含まれる。</p> <p>こうして自分の「焦がれたもの」をみてくると、ほとんどすべてが20代以前に出会ったものだということに気づく。つまり、ここ20年くらいの自分は何かに焦がれるほど魅かれてはいない、ということ。</p> <p>30代以降、好きなモノや良いと思ったモノはたくさんあったけれど、「焦がれた」モノはなかった。これはけっこう大きな発見だった。今でもぼくはかつて焦がれたモノたちへの気持ちに駆動されて生きているようなところがある。まあ、それが年を取るということなのかもしれない。</p> <p>もうひとつ気づくのは、自分は個人的で自己完結したモノに強く魅かれるということ。BARTは「鉄道」なので一見すると「個人的」ではないようにも見えるけれど、ぼくにとっては公共交通は個人性・匿名性の象徴のようなものだ。</p> <p>あ、あと<strong>「黒か白か銀色で四角いモノ」</strong>に魅かれる傾向も明らかですね。</p> <p>そんなわけで、「夜も眠れないくらい焦がれたもの」を書き出してみるといろいろ発見がある。</p> takwordpiece アナログでは不可能なアナログ的操作 hatenablog://entry/4207112889927829267 2022-10-15T22:24:02+09:00 2022-10-15T22:24:44+09:00 ライティング/ノートツールに関してはアナログとデジタルの中間領域みたいなところがけっこう重要な気がする(「手動で並べ替える」とか「テキストを色分けした後で特定の色の部分を抜き出す」みたいな)。 — Tak. (@takwordpiece) 2022年10月13日 ぼくは本質的にはアナログ世代の人間だから余計にそう感じるのかもしれない。 でも「本当のアナログでは不可能なアナログ的操作を可能にしてくれるのがデジタル」みたいな感覚が確かにある。「昔から本当はやりたかったけれどアナログツール上では無理だった」みたいなこと。 考えてみればアウトライナーというのはまさにそういうツールだ。データをソートする… <blockquote class="twitter-tweet" data-conversation="none" data-lang="ja"> <p dir="ltr" lang="ja">ライティング/ノートツールに関してはアナログとデジタルの中間領域みたいなところがけっこう重要な気がする(「手動で並べ替える」とか「テキストを色分けした後で特定の色の部分を抜き出す」みたいな)。</p> — Tak. (@takwordpiece) <a href="https://twitter.com/takwordpiece/status/1580577160821030912?ref_src=twsrc%5Etfw">2022年10月13日</a></blockquote> <p>ぼくは本質的にはアナログ世代の人間だから余計にそう感じるのかもしれない。</p> <p>でも「本当のアナログでは不可能なアナログ的操作を可能にしてくれるのがデジタル」みたいな感覚が確かにある。「昔から本当はやりたかったけれどアナログツール上では無理だった」みたいなこと。</p> <p>考えてみればアウトライナーというのはまさにそういうツールだ。データをソートするのでもない。条件で抽出するのでもない。手作業で並べ替え、階層化し、結果を見ては何回も修正する。結果としてどんな構造を作るかは「勘所」みたいなものにまかされている。</p> <p>実にアナログ的だけど、それはアナログ環境では絶対にできない操作なのだ。</p> <p>個人の知的作業をサポートするデジタルツールには、その種のアナログ的操作を許容してくれる余地みたいなものがとても重要なのではないかと思う(もちろん、デジタル本来の操作がそこに加わってこそでもある)。</p> takwordpiece 是正とライフ hatenablog://entry/4207112889925875509 2022-10-09T16:34:45+09:00 2022-10-09T16:35:19+09:00 自分自身の行動に対して「我ながらちょっと不誠実だな」と思っていたことがあった。口で言っていることと実際にやっていることが整合していないと自分でわかっていたけれど、まあいろいろ理由があってそのままになっていた。 波風立てたくないとか嫌われたくないとかのエゴ的な理由もあるし、オトナの社会的振る舞いとしてまあ常識の範囲内だよねというご都合主義的言い訳もあったと思う。 先日、その行動を是正した。 きっかけは、夜中に妻とライフに関するわりにディープな会話をしたことだった。そのこと自体は上の話とはまったく無関係なのだが、妻との会話の中で正しい言葉を探しているとき唐突に「自分がしてきたあの行動は本当に不誠実… <p style="font-weight: 400;">自分自身の行動に対して「我ながらちょっと不誠実だな」と思っていたことがあった。口で言っていることと実際にやっていることが整合していないと自分でわかっていたけれど、まあいろいろ理由があってそのままになっていた。</p> <p style="font-weight: 400;">波風立てたくないとか嫌われたくないとかのエゴ的な理由もあるし、オトナの社会的振る舞いとしてまあ常識の範囲内だよねというご都合主義的言い訳もあったと思う。</p> <p>先日、その行動を是正した。</p> <p>きっかけは、夜中に妻とライフに関するわりにディープな会話をしたことだった。そのこと自体は上の話とはまったく無関係なのだが、妻との会話の中で正しい言葉を探しているとき唐突に<strong>「自分がしてきたあの行動は本当に不誠実だ」</strong>とあらためて、とても強く思ったのだった。</p> <p style="font-weight: 400;">だからその日のうちに是正した(それくらい簡単に是正できることだった)。</p> <p style="font-weight: 400;">是正してどうなったかというと、特に何も変わらない。変わらないけど、自分の存在と行動についてのポジティブな感覚がほんのわずかに増したような気はする。</p> <p style="font-weight: 400;">ライフの中ではそれなりに意味のあることだ。</p> takwordpiece 説明の呪縛を取り外すフリーライティング hatenablog://entry/4207112889918269784 2022-09-15T12:45:38+09:00 2022-11-18T22:58:37+09:00 わかっていないときには理屈で考えようとしない方がいい。 けっこう昔、複数回の失敗を通じてそのことを学んだ気がするのだが、それでも時に理屈で考えようとしすぎてしまう。 あるいは「説明」しようとしてしまう。 説明するために理屈で考えようとしてしまう、のかもしれない。 ■ 気分や好き嫌いで物ごとを決めるのはあまり褒められたことではないと父親的な何かにいつの間にかすり込まれてきた。 たぶんそのせいで、好き嫌いや気分に基づいて行動した(あるいは行動への意思を表明した)後に、その理屈を説明しようとする癖がついた。 本来わかっていないことの理屈を説明しようとすることが、いろんなことを悪くする。 父親的な何か… <p>わかっていないときには理屈で考えようとしない方がいい。</p> <p>けっこう昔、複数回の失敗を通じてそのことを学んだ気がするのだが、それでも時に理屈で考えようとしすぎてしまう。</p> <p>あるいは「説明」しようとしてしまう。</p> <p>説明するために理屈で考えようとしてしまう、のかもしれない。</p> <p>■</p> <p>気分や好き嫌いで物ごとを決めるのはあまり褒められたことではないと父親的な何かにいつの間にかすり込まれてきた。</p> <p>たぶんそのせいで、好き嫌いや気分に基づいて行動した(あるいは行動への意思を表明した)後に、その理屈を説明しようとする癖がついた。</p> <p>本来わかっていないことの理屈を説明しようとすることが、いろんなことを悪くする。</p> <p>父親的な何かのことはもう気にする必要がないのだとしたら、いったい誰に向かって何を説明しているのだろう。</p> <p>説明しようとする自分はなんだか男性っぽくて嫌にもなる。</p> <p>■</p> <p>説明の呪縛を取り外す方法のひとつがフリーライティングだ。10分か15分、頭から浮かぶ文章(みたいなもの)をただ書く。ちゃんと書こうとしない。一度書いたことを書き直そうともしない。ただ書く。書かれた結果を読む。</p> <p>フリーライティングには気分が現れる。言葉の選び方とか語尾とかの中に自然に現れるのだ。その奥には理屈で、ロジックで、理性でカバーできない自分の何かが見える。</p> takwordpiece 好きだったもののひとつ hatenablog://entry/4207112889917250327 2022-09-11T23:14:05+09:00 2022-09-11T23:14:05+09:00 昔好きだった場所をひさしぶりに歩いて、その場所で好きだったものがほとんど無くなっていることをあらためて確認する。 ずっと前からわかっていたことではあるけれど、年齢を重ねるということは、好きなものが消えていく経験の連続なのだ最近思う。 もちろん新しいものの中にも好きなものはあるのだが、それとこれとは違うのだ。 かつて横浜市営地下鉄は美しかった(好きだったもののひとつ)。 www.gk-design.co.jp yanagi-design.or.jp <p>昔好きだった場所をひさしぶりに歩いて、その場所で好きだったものがほとんど無くなっていることをあらためて確認する。</p> <p>ずっと前からわかっていたことではあるけれど、年齢を重ねるということは、好きなものが消えていく経験の連続なのだ最近思う。</p> <p>もちろん新しいものの中にも好きなものはあるのだが、それとこれとは違うのだ。</p> <p>かつて横浜市営地下鉄は美しかった(好きだったもののひとつ)。</p> <p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fwww.gk-design.co.jp%2Fworks%2F810%2F" title="横浜市高速鉄道:サインデザイン | Works | GK Design Group" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" loading="lazy"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://www.gk-design.co.jp/works/810/">www.gk-design.co.jp</a></cite></p> <p><iframe src="https://hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Fyanagi-design.or.jp%2Fworks%2F547%2F" title="横浜市営地下鉄の設備群" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;" loading="lazy"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://yanagi-design.or.jp/works/547/">yanagi-design.or.jp</a></cite></p> <p> </p> takwordpiece 責任(ランダムノート) hatenablog://entry/4207112889916015869 2022-09-09T18:47:24+09:00 2022-09-09T18:47:24+09:00 無責任の前には仕事術など何の役にも立たない。 ■ 無責任に見える人の中には単に他人に興味がないだけの人がいる。 ■ かつて勤めていた会社(A)の病的に細かい完成度を誇るあり方と、かつて勤めていた会社(B)の不可能を気合いで可能にすることを誇るあり方と、フリーランスとして関わった会社(C)の杜撰かつ堂々としたあり方。 ■ 「●●したいけど、そうすると××と言われそうだから」という理由で●●することを躊躇する人の言動を見ていると、「●●する人に対して××と言っている」のはまさにその人であったりする。 ■ いかなる場合もネガティブであってはいけないとは思わないが、ネガティブなことを口にしたのなら、そ… <p>無責任の前には仕事術など何の役にも立たない。</p> <p>■</p> <p>無責任に見える人の中には単に他人に興味がないだけの人がいる。</p> <p>■</p> <p>かつて勤めていた会社(A)の病的に細かい完成度を誇るあり方と、かつて勤めていた会社(B)の不可能を気合いで可能にすることを誇るあり方と、フリーランスとして関わった会社(C)の杜撰かつ堂々としたあり方。</p> <p>■</p> <p>「●●したいけど、そうすると××と言われそうだから」という理由で●●することを躊躇する人の言動を見ていると、「●●する人に対して××と言っている」のはまさにその人であったりする。</p> <p>■</p> <p>いかなる場合もネガティブであってはいけないとは思わないが、ネガティブなことを口にしたのなら、そのネガティブさを自分で引き受けるというのはけっこう大事なことだと思う。</p> <p>■</p> <p>何かに心を動かされた経験を簡単に共有せず、必要なときが来るまで自分のうちにしまっておくことも、今の時代には必要かもしれない。</p> takwordpiece