快を無視すると何もいいことがないこと、BEとASの変化

去年の年末に、ここ数年変っていなかった「CLEAR」の内容を大きく変えた。

CLEARというのは、個人的にタスク管理アプリ兼メモアプリ兼プロジェクト管理アプリ兼日記……みたいな使い方をしているアウトラインのこと。ひと言でいうとライフ(生活と人生)をクリアにするアウトラインだ。

生活と人生の中で「考える」必要があることは、だいたいCLEARの中でやれるようになっている。何かを「アウトライナーで書いた」とか「アウトラインを作って考えた」というときは、90%くらいがCLEARの中だ(後の10%は長文のために別に作ったアウトラインだ)。

【宣伝開始】CLEARについては『アウトライン・プロセッシングLIFE』という本に詳しく書いた。この本は、単なるタスク管理のためのアウトラインだったものが、ライフ(生活と人生)を扱う巨大なアウトラインになっていった過程の物語になっている【宣伝終了】。

CLEAR全体の構造はこんなふうになっている(アウトライナーはOmniOutlinerだけど、それは今回重要じゃないから割愛)。

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ごく簡単にいうと、「DAYS」はデイリータスクリストとメモ帳、「ALL」はプロジェクトリスト、そして「BE」と「AS」はライフ(生活と人生)の中での選択基準だ(『7つの習慣』を読んだ人なら、ミッションステートメントみたいなものを想像してもらえると少し近い。ただし、その内容はいわゆる「ミッションステートメント」的なものに対するアンチテーゼでもある)。

年末に大きく変ったのはこのBEとASの内容だ。

12月の中旬くらいからなんとなくフリーライティングを繰り返し、その結果をアウトライナーに入れてシェイクした。シェイクすればもちろん内容は広がる。分離し、結合し、細分化され、まとめられる。その過程で思いついたことは(ものすごく思いつく)加筆される。

2週間の間にBEとASは数百行まで広がり、最後にはそれぞれ1行まで圧縮された。

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  • BEとは、自分の身体や精神の機能を発揮することの快。
  • ASとは、能力を発揮して世界の中に自分を位置づけることの快。

そのことによって快、つまり心地よく、気持ちよく、気分よくいることができるか。

もともとは、BEが「自分としてどうありたいか」、ASが「人との関係の中でどうありたいか」を考えるアウトラインだったのだが、元の意味も残しつつ、自分のとってはよりリアルに、クリアに言葉にできたと思う。

ちなみに各行の下には、その元になったフリーライティングの内容もたたみ込まれている。これはけっこうリアルで生々しい(見せないよ)。

BEとASはライフの中での「選択基準」だと書いた。具体的に、一日のアウトライン(DAYSの下に日付ごとのアウトラインがある)の中ではこうなる。

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日付の中に、BEとASの内容がそのまま貼り付けられている。その下に「その日にやるべきこと」や「やりたいこと」がぶら下がる。

アウトライン的には、「やりたいこと」「やるべきこと」がBEとASの下位階層に位置づけられる、ということになる。つまり、「やるべきこと」や「やりたいこと」がBEとASの要素になる。

朝起きて今日一日のアウトラインを作りながら、このアウトラインは成立しているだろうかと考える。やることはたくさんあるけれど、それらをBEとASの要素として位置づけてアウトラインは成立するだろうか。違和感があったり矛盾していたりしないだろうか。

もちろんアウトラインが成立しなくても生活や人生は崩壊しない。けれども時間は有限だから、いずれにしても何かを落とさなければならないのだ。そのとき何を落とすか。それってけっこう大事なことではないだろうか*1。その選択基準がBEとASであり、選択とはこのアウトラインを成立させることだ。

落とされたやるぺきことややりたいことは、いちばん下の「できれば」の下に入る。項目が6個を超えたら7個目以降は「できれば」に落とす。余裕があったらやる(たいてい、ない)。

今日一日の範囲ではわかりにくいかもしれないのでもうひとつ選択基準を紹介。

たとえばASの下には「仕事の条件」というアウトラインがある(仕事は「能力を発揮し、世界に自分を位置づける」ことなので、ASの下に置いた)。

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  • 【条件1】shipするものに価値があると思えること。
  • 【条件2】そのプロセスが快であること。
  • 【条件3】充分な報酬を得られること。

これは、どんな仕事をしたいかの基準になる。場合によってはこの基準にもとづいて仕事を受けたり受けなかったりする。

元は年末のフリーライティングからできているけれど、BEとASが決まった後で、あらためて整合性を考えながら一部の言葉を変えた(「仕事の条件」のメモ欄を開けば、BEとASが入っている)。この3つの条件もまた、BEとASの下位階層なのだ。

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【条件1】〜【条件3】は、そのまま優先順位だ。たとえば【条件3】を期待して【条件1】や【条件2】で妥協したためにあまり気持ちのよい結果を招かないばかりか、往々にして【条件3】すら期待通りにならないみたいなこと、ありますよね。だから【条件3】はとても重要だけれど、優先順位としては最後だ。

もちろんオトナだし現実は厳しいから、どんなときにもこの順番に固執するということではない。ないけれど、自分の中の基準ははっきりしている。自分が妥協したときには「ああ、今自分は妥協したなあ」とはっきりわかる。

それは、「なんとなくモヤモヤする」のとは違う。そういうのって、けっこう大事だ。この数年の間にやったいくつかの仕事でのリアルな反省でもある( ˘_˘ )。

「仕事」の他にも、「夫婦関係」「人との関係」「モノとの関係」「欲望との関係」などのアウトラインが、新しいBEとASの下に作られた。

BEとASの中にある「快」という言葉についてもう少し。

 「快」を無視すると何もいいことがないというのは、わかってはいたけれど大きな発見だった(再発見だったというべきか)。生活にしても仕事にしても道具にしても人間関係にしても。

「そのことによって快、つまり心地よく、気持ちよく、気分よくいることができるか」と上でキレイに書いたけれど、もっというと欲求や欲望を無視せず人生に組み込めるか。それは人間に備わった「選択」のための本能だからだ。

フリーライティングでそのことを再発見し、BEとASに反映したことで、ライフ(生活と人生)の全ての局面に影響が及ぶ。

これもCLEARの大切な機能だ。

*1:ここに詳しくは書かないけれど、なぜ大事かということを痛切に教えてくれるのが「ライフ(LIFE)」という言葉だ。