他人の文章を補助線として使う

「何かを書かなければならないけれど書けない」というときにおすすめの方法。

本棚から好きな本を取り出してくる。その中の好きなページを開く。そしてエディタでもアウトライナーでも好きな執筆用のツールを開き、それを書き写していく。いわゆる「写経」というやつですね。

単に書き写すだけなので頭は使わない。フリーライティング以上に抵抗がない。

そして不思議なことに、他人の文章をそのまま書き写しているうちに、写している文章とは関係ない文章がふと頭に浮かんでくることがある。写している文章に関係した内容のこともあれば、まったく関係ない内容のこともあるけれど、とにかく本に書かれているのとは違う文章だ。個人的には2段落くらい写したあたりで、写している文章の「続き」として自前の文章が流れ出してくることが多い。

それをすかさず書き出す。写している文章に続けてその場に書いてしまう。どこか別の場所に書こうとしたりしない。「適切な場所を探す」だけで抵抗になるからだ。まあ、改行くらいはしておいた方がいいかもしれない。でないと写している文章と自分の文章の区別がつかなくなってしまうから。

ひとつのフレーズを書き出せば、多くの場合続けて別のフレーズが浮かんでくる。すでにスイッチは入っているからだ。もちろん頭に浮かぶままに書き続ける。いつの間にか写経の途中から自前のフリーライティングに移行している。その中から使えるパーツを抜き出して膨らませていく(もちろん、そのときにはアウトライナーが役に立つ)。

他人の文章を自分の文章のための補助線として使っていると言えるかもしれない。

コツをあげるとすれば、写経には自分をインスパイアしてくれるような、本当に気に入った文章を使うことだろうか。好きな文章、好きなフレーズを摂取しながら実際に手を動かすわけだから、スイッチが入りやすくなっても不思議はないと思う。

向き不向きはあると思うけれど、はまる人にははまると思うので試してみてください(フィクションを書く人にけっこう効くのではないかと想像するけど、どうだろう)。

ちなみに何も成果がなくても、好きな文章を書き写すことにはもちろんそれだけで価値がある。