OmniOutlinerの「グループ化」機能

OmniOutlinerで個人的に気に入っている機能のひとつが「グループ化」という機能だ。

初期のアウトライナーの多くが持っていた一方、WorkFlowyやDynalistなど後発のアウトライナーではあまりみられない機能のひとつだ。

以前の記事でこの機能を「麻薬のよう」と表現したのだが、実際にはそんな大層なものではないというか、大げさに使うものではない気もする。逆に言えば大げさでないからこそ麻薬のようなのだ。

階層を上がる機能

「グループ化」は簡単にいうと、選択したトピックを包含する上位の階層を作る機能だ。より正確に表現すれば同じ階層に新しいトピックを作り、今いるトピックをその下に下げる機能なのだが、使用感としては前者の方が近い。

……と言葉で説明してもわかりにくいので、実際の画面で見て欲しい。以下はこの記事を実際に書いている途中の画面だ。まずフリーライティング的にざっと書き出した状態。

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トピックのまとまりを選択する。

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この状態で「グループ化」を実行すると以下のようになる。

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選択したトピックを包含する上位のトピックが作られた(あるいは同じ階層に新しいトピックを作り、今いるトピックがその下に下げられた)ことがわかると思う。

新しくできたトピックに見出しを記入すれば完了。

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これはレベルアップの操作を瞬時にできることを意味する。レベルアップとはアウトライン操作の「5つの型」のひとつだ。以下はアウトライン・プロセッシングミニ入門より抜粋。

レベルアップは、ブレイクダウンとは逆に、ある項目に対する上位階層を探ることです。グルーピングが単純な「分類」なのに対して、レベルアップはその項目を含む上位概念や文脈を見つけることであり、それ自体が強力な発想法になります。下位項目の内容を要約したり文章化したりすることもレベルアップです。

ちなみに「5つの型」では「レベルアップ」と「グルーピング」を区別している。「レベルアップ」が「階層を上がる」ことなのに対して「グルーピング」は「分類」だ。

そしてOmniOutlinerの「グループ化」がやっていることは、やはり「分類」というより「階層を上がる」ことなのではないかと思う(ややこしい)。

その場で「未使用」に落とす

「グルーブ化」にはいろいろな使い道があるけれど、個人的にいちばん多用するのが、今書いているパーツを「未使用」に落とすときだ。「未使用」は、書いてしまったけれど使わなさそうな(あるいは使い道をすぐに思いつけない)断片をとりあえず入れておくための仮見出し。

通常「未使用」は文末に置くことが多いのだが、「グループ化」を使って書きながらどんどん「未使用」にくくり、後からまとめると楽だ。

以下はこれも今書きかけの別の文章のアウトライン。文中にたくさん「未使用」が散らばっていることがわかる。

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散らばったトピックを集める

もうひとつは、書き散らかしたメモやフリーライティングから必要なパーツを集めてくるときだ。

以下では関係する記述が離れた場所に複数ある。離れた場所にある項目は、commandキーを押しながらクリックしていけば同時選択できる(これはMac共通の操作)。

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この「飛び飛び選択」の状態で「グループ化」を実行すると、離れた場所にあった項目が新たにできた上位項目の下に集められる。

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見出しをつける。

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この機能は文中にたくさん作った「未使用」を一か所にまとめるときにも便利だ。まったく同じことがOmniFocusでもできるので、タスクを整理するときに重宝すると思う。

この「離れた項目を集める」この感覚は「レベルアップ」とは少し違う。「集合」がイメージに合っているだろうか。やはり「分類」ではない気がする……と考えたところで「グループ化」とは「集める」という意味の「group」の訳なのだと思い至った。そういえば80年代のアウトライナーでは同様な機能が「Gather」と呼ばれることが多かった。

気持ちいいこと

「グループ化」機能がアウトライン・プロセッシングのために絶対に無くてはならない機能なのかというと、そんなことはない。複数の手順を踏めば他のアウトライナーでも同じことはできる。でも、とても気持ちがいい。そしてこの種のツールで「気持ちがいい」ことはけっこう重要だ。

グループ化機能はiOS版を含むOmniOutlinerおよびOmniFocusで使えるので、興味がある人は試してみてください。