前の記事ではOmniOutlinerの出自の話をしたけれど、今回はOmniFocus(主にMac版)の出自の話。
OmniOutlinerの開発元OmniGroupの最大のヒット商品といえばおそらくOmniOutlinerではなくタスク管理アプリOmniFocusの方だと思うのだが、そのOmniFocusが生まれるきっかけになったのは、OmniOutlinerをタスク管理(というよりも厳密にGTD)に使うためのAppleScript「KinklessGTD」だった。
これがOmniFocusが生まれるきっかけになったOmniOutliner用スクリプト「Kinkless GTD (kGTD)」。
— Tak. (@takwordpiece) 2021年3月21日
Kinkless GTD Intro Video 0.8+ https://t.co/ANPmaIaNjm @YouTubeより
初期のOmniFocusの動画を見ると明らかにOmniOutliner+kGTDの面影が残っている。
そしてこれを見ると初期のOmniFocusは今よりずっとアウトライナーだったということがよくわかる。https://t.co/AeOH9nxo8d
— Tak. (@takwordpiece) 2021年3月27日
つまりOmniFocusの始まりは「タスク管理の機能を上乗せしたアウトライナー」そのものだった。
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タスク管理アプリとして機能を高めていく中で、OmniFocusはそのアウトライナー性を隠す方向に進化してきた印象があり、個人的には残念に思っていた。
しかし初期のOmniFocusの動画を見た後であらためて今のOmniFocus(Mac版)を見ると、目立たなくなっただけでアウトライナー性自体はちゃんと残っている。たとえば全プロジェクト、あるいは全タグとその内容をひとつのアウトラインとして表示・操作できる(以下の動画ではタグのアウトラインが見られる)。
アウトライナーとしての基本的なキー操作はOmniOutlinerと共通になっている。OmniOutlinerのあの麻薬のような「グループ化」機能もちゃんとある*1。
階層によって項目の役割が固定されているので(プロジェクト画面であれば第1階層がプロジェクト、タグ画面であれば第1階層がタグ)、アウトライナーの分類でいえばこれはプロダクト型アウトライナーということになる。
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そのアウトライナー性を意識した後でOmniFocusに触れると、OmniFocusに対する見方(≒使い方)が少し変わるかもしれない、と思う。
もちろん、アウトライナー的にOmniFocusを捉えるのが「正しい」ということではない。OmniFocusは柔軟で、アウトラインをまったく意識しなくても使えるようになっている。アウトライナー性を薄めてきたのも、おそらくそのような意図があったからだと思う。
でもやはり個人的には、そのアウトライナー性にOmniFocusのアイデンティティを感じてしまう。
以下はゲンブさんのツイート。
振り返ってみて、やはり個人的にはOmniFocusをタスク管理ツールとして使おうとして向き合うよりは、アウトライナーとして使っているように思えます。
— ゲンブ@Happy Task Managing (@genbu60) 2021年3月28日
アウトライナーをタスク管理ツールとして使う方向性とタスク管理ツールをアウトライナーとして使う方向性。
— ゲンブ@Happy Task Managing (@genbu60) 2021年3月28日
後者をあまりみかけたことがないことがOmniFocusにこだわる理由なのかもしれない。
ちなみにぼくはタスク管理(的なこと)には長いことアウトライナーを使っているけれど、OmniFocusもずっと購入し続けている。
*1:ただしタブキーでのインデントができない。アウトライナーとしてはこれがいただけない。