削り落とされたライフの諸要素

仕事は断らない。無理な仕事もとりあえず引き受けて、どう実現するのかは後から考える。もちろん、いったん引き受けたからにはどんなことがあっても完遂する。「できるかどうかじゃなくやるかどうかだ」が口癖だ(そのフレーズをスクリーンセーバーにしてい…

なんかいいこと言っとこう

多くの場合、いちばん他人にわかって欲しいことこそいちばん伝わらないことであって。 それは若い人にはもちろん、そうではなくなった人にとってもきついことだ。 他人が自分をわかっていないのと同じくらい自分もわかっていないということを踏まえて他人と…

レリバント

→ 個別の問題 個人が抱えている問題が他人に本当の意味で「わかる」ことはない。 一般的な意味で「わかる」ことはもちろんある。たとえば子育てや介護が大変であることは「わかる」。離別や死別が辛いことも「わかる」。同じような経験をしていればその範囲…

社長が消えた朝

ちょっと理由があって25年くらい前に勤めていた会社(社員としては前々職)の周辺をストリートビューで眺めていたら強烈な懐かしさに襲われた。会社が入っていたビルの周囲だけが取り残されたように昔のまま残っていた。空を遮る見慣れない壁があると思った…

恋人と機能とジャストアイデア

マッチングアプリは、(少なくとも最初の段階では)容姿とスペックでしか相手を選べない。 容姿とスペックで相手を選べば、マッチングした後は必然的に減点主義にならざるを得ない。容姿とスペック以外のイニシャルな情報が何もないのだから。 職場や学校で…

昭和の男たちのそれを待つ

散歩の途中、昭和の風情の残る商店街から脇に入った路地で、とてもひさしぶりに「立ち小便」というものを見かけた。 二人連れのおじさんが、仲良く並んで。 すぐそばにはコンビニもあるし(そこにはトイレがある)、ミスタードーナツもあるし(そこにはトイ…

努力して身につけた「ああいうもの」的な振る舞い

報道などで、ある集団の上下関係の中で生起する構成員の醜悪な振る舞いが明るみにでる。それを見て「ああいうものにはなりたくないな」と思う。 でも往々にして、その「ああいうもの」的振る舞いは自ら努力して身につけたものだったりする。生きていくために…

ライフが交差するいつもの場所

周囲に人がいると落ち着かないし緊張するし集中もできないので、できるかぎり避けたい(だから会社員をやっていると「職場では仕事できない」という深刻な問題に直面する)。 でも不思議なことに喫茶店やカフェでは多少騒がしいくらいが落ち着くし集中もでき…

ごく普通に永久にどこにでもあると思っていたもの

窓際の席に座り、道ゆく人々や辺りの商店の営みをぼんやり眺めながら時間を過ごすというのが、喫茶店の由緒正しい使い方のひとつだった。 問題は、路面にあって外の景色が眺められる窓際席を備えた喫茶店が年々少なくなっていることだ。 昔は(根拠も統計も…

見逃された公私にわたる小さな情報の数々

近所の小さな医院で新型コロナウィルスのワクチン接種を受けた。 予約時間は14時45分だったので、その5分ほど前に医院に行った。すると入り口の鍵は閉まっており、院外に3人が並んで待っていた。14時45分ぴったりに受け付けを開始するが、それまで中には入れ…

好ましい軽やか

隣の部屋の若いカップルは、この夏軽やかに引っ越していった。 暑い夏の午後、友だち数人が手伝いにきて数時間ばたばたしているなと思ううち、あっという間に部屋は空になっていた。その日のうちに管理会社がやってきてドアに暗証番号式のキーを取り付けてい…

各種の自由

夢を持たない自由もある。 心を開かない自由もある。 内に籠る自由もある。 友だちを100人も作りたくない自由もある。 インプットしたことをアウトプットしない自由もある。 こだわらない自由もある。 輝かない自由もある。 3回ノックしない自由もある。 コ…

倉下忠憲さんの新刊『ロギング仕事術』について

※この記事は9月14日に配信された「うちあわせCast 第134回:Tak.さんと『ロギング仕事術』について」のために作ったアウトラインを元にしています。同配信のために、著者には事前に献本していただいています。 9月14日発売の倉下忠憲さんの新刊『ロギング仕…

他人の欲望

時代を生き抜くために「自分の市場価値」的なものを意識せざるを得ないのは事実としても(事実だよね)、その言葉自体を価値あるもののごとく連呼されると、世界の居心地がやや悪くなってくる。 ■ 某転職サイトの広告の話。 ■ 「自分の市場価値」的なものの…

Bike Outlinerをとても気に入っている

Bike Outliner(以下Bike)は近年でいちばん気に入ったアウトライナーかもしれない。 BikeはMacのネイティブアプリであり、当然Macでしか使えない。1年ぐらい前に数週間試用しとても良いと思いつつ常用に至らなかったのは、現代の環境でMacでしか使えないと…

欲望について

欲望の機能2023 自分が本当は何を望んでいて、どっちの方向にいきたいのか教えてくれる機能を、人間はちゃんと持っている。それは広い意味での「欲望」と呼ばれる。 ものごとを過度にプランするべきでないのは、欲望に対して目が曇るからだ。 すごく単純な例…

【告知】Tak.のKindle本5冊が「夏の超ビッグセール」対象になっています

6月20日より7月12日までの間実施されるKindleストア「夏の超ビッグセール」の対象に以下の拙著・共著が選ばれております。それぞれ通常のほぼ半額となっています。 ■ 『アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術』 ■ 『書…

巻き込まれることについて

よく「周囲をどんどん巻き込んでいく」みたいなのがリーダーシップ的に好ましい行動とされることがあるけど、個人的には「巻き込まれる」のは好きじゃないです。 ある人の行動に結果的に「巻き込まれる」ことはあるだろうけど、それはその人/行動に敬意や好…

On Raw-guys

老人の中にかつて若かった自身が生きているように、若者の中にもやがて老いる自身が生きている。 「老人は自分たちとは違う生き物」だとは考えない方がいい。子どもの頃に「大人は自分たちとは違う生き物」だと考えていたのは間違いだったと感じたことがある…

個人の総合的な感じ

旧Word Pieceの初期の記事を見ると、数行、極端な場合は1行しかない記事があったりする。今だったらツイートにするような記事。当時は別にめずらしいことではなかったと思う。今のブログの常識からすればおそらくあまりやるべきではないことかもしれないけれ…

厚めの薄切り

「現実の世界では『厚めの薄切り』みたいなことが必要なんですよ」 — Tak. (@takwordpiece) 2023年5月20日 上のツイートの言葉はずっと昔、就活でOB訪問したゼミの先輩のもの。 「薄切りの技術」を学んで身につければ何かの役に立つと思いがちだけど、仕事の…

水曜の朝3:31

Macのファイルを整理していたら、10年以上前にiPhoneで撮った動画を見つけた。 当時働いていた職場で同僚が仕事をしている様子を背中から映したもの。彼女は一心不乱にデータを分析し、資料を作っている。周囲にも何人もの人が同じように黙々と仕事をしてい…

ニュートラル

「せっかく奮発して(気に入るだろうと思って)買ったねこちぐらやキャットタワーを猫が使ってくれない」というケースは猫好きならおなじみのことだ。 でも、諦めて物置きに放り込んであったねこちぐらに、ふと気がつくと満足げに入っていたりするのもまた猫…

名前のない望み

望みの多くには名前がない。 — Tak. (@takwordpiece) 2023年4月2日 現代の日本に生きていると、「夢」や「やりたいこと」を書け(言葉にしろ)と言われる場面がけっこうある。特に若い人にとってはそうだと思う。 でも、自分の「夢」や「やりたいこと」がう…

せっかく今という時代を生きているのだから

「整理」したり「管理」したりするだけではなく、自分のために「考える」ツールを手に入れよう。 職場だけでなく、電車の中で、公園のベンチで、カフェや喫茶店のテーブルで、自分の部屋で、自分のために考え、結論を出すためのツール。 ぼくならアウトライ…

ランダムノート2023/03/04

1 自分のしている仕事が「良い」かどうかは、自分がいちばんよくわかっている。 「良い」とわかっている仕事が他人から評価されるとは限らないし、そもそもその仕事が客観的な意味で本当に「良い」とも限らない。でも、自分の仕事が「良い」とわかっているこ…

焦がれたものリスト

自分がどんな欲望を持っているか確かめるために「好きなもの」とか「欲しいもの」についてフリーライティングしてみるということを年末年始の習慣にしている。 で、今年は一歩進めて単に「好きなもの」「欲しいもの」ではなく、「焦がれたもの」を書き出して…

アナログでは不可能なアナログ的操作

ライティング/ノートツールに関してはアナログとデジタルの中間領域みたいなところがけっこう重要な気がする(「手動で並べ替える」とか「テキストを色分けした後で特定の色の部分を抜き出す」みたいな)。 — Tak. (@takwordpiece) 2022年10月13日 ぼくは本…

是正とライフ

自分自身の行動に対して「我ながらちょっと不誠実だな」と思っていたことがあった。口で言っていることと実際にやっていることが整合していないと自分でわかっていたけれど、まあいろいろ理由があってそのままになっていた。 波風立てたくないとか嫌われたく…

説明の呪縛を取り外すフリーライティング

わかっていないときには理屈で考えようとしない方がいい。 けっこう昔、複数回の失敗を通じてそのことを学んだ気がするのだが、それでも時に理屈で考えようとしすぎてしまう。 あるいは「説明」しようとしてしまう。 説明するために理屈で考えようとしてしま…