こちらのツイートを拝見しての記事。
なお、ズームによってコンテキストを一時的に断つことの効能は、Tak.さんの本で明確に示されていると思います。《ついついその要素をすべて使いたくなってしまう》のを防ぐこと。
— sosuisen (@sosuisen_net) 2021年11月12日
『書くためのアウトライン・プロセッシング: アウトライナーで発想を文章にする技術』 https://t.co/PzVzM6RaFR pic.twitter.com/mhP95AXtTb
ここでいう「ズーム機能」というのは、オンライン会議サービスのZoomではなく、アウトライナーのWorkFlowyやDynalistの「Zoom」機能のことです(ややこしいので、以下カタカナで「ズーム」と表記します)*1。
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アウトライナーのズーム機能というのは、たとえば以下のようなものです。
こんなアウトラインがあったとして……。
以下が「どんな本にしようかな」にズームした状態。
ちなみにこれは『書くためのアウトライン・プロセッシング』の初期段階の作業の様子です*2。
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アウトライナーのズーム機能についてのぼくの認識は、「複数の文書の集合体としてのアウトラインからひとつの文書を見た目上切り出す機能」です。
プロセス型アウトライナーで作るアウトラインにはもともと「ひとつの文書のアウトラインであると同時に複数の文書の集合体でもある」という性質がある。これはプロセス型アウトライナーで扱う項目の「部分でもあり全体でもある」という性質と一体です。
ぼくがアウトライナーの項目を指して「ノード」という言葉を使わないのは、プロセス型アウトライナーでの項目は明らかにノード(結節点)以上のものだからです。
長年「アウトライン項目」という言葉を使ってきたのですが、『書くためのアウトライン・プロセッシング』ではこれに「ピース(piece)」という名前をつけました*3。
英語のpieceは「断片」「部分」などという意味ですが、一方で「作品」という意味もある。つまり部分であり、同時に全体(作品)でもあるのです。そしてプロセス型アウトライナーで扱う項目はまさに「部分であり、同時に全体」です。項目自体は「見出し」とか「タイトル」とか「内容」などという属性を持たず、階層関係によって部分にもなり、全体にもなるからです。
そんな性質を持つアウトラインの中で、「部分」のように見えていたピースを「全体」として眺めたいときに役に立つのがズーム機能です。
逆に、ひとつの文章/文書のアウトラインではズーム機能は必須の機能とは思いません。全体の文脈の中での位置づけが見えなくなるからです(だからプロダクト型アウトライナーであるWordのアウトライン機能にズームがなくてもさほど不都合はない、と思う)。
もちろんズーム機能はさまざまな捉え方ができる幅の広い機能で、以上はあくまでもTak.の個人的な考え方です。