アウトライナーのアイデアプロセッサ性

「アウトラインプロセッサ(アウトライナー)」と「アイデアプロセッサ」はどう違うのかという話題が昔からあります。

「アイデアプロセッサ」はそもそも最初のアウトライナーであるThinkTankのキャッチフレーズとして使われた言葉なので、当初から同じものを指しているとも言えるのですが、とは言えその二つの用語の違いは気になります。

いわゆる「発想」を促すことを目的とした機能がアウトライナーに備わっているかというと、そんなことはありません。

たとえばKJ法やマインドマップをアウトライナーで代替しようとしても、うまくはいかないと思う。いや、工夫すれば部分的にできないことはないかもしれないけれど、そんなことをするくらいなら最初からきちんとKJ法やマインドマップの解説書を読んで本家をやった方が有効なわけです。

アウトライナーの機能にマップを作る機能やカードメタファーなどを付加してより直接的に「アイデアプロセッサ」を指向したアプリもあります。

たとえばかつてダイアグラム作成とアウトライナーの機能をほぼ完全に統合したInspirationというアプリがありました。アウトラインモードで作ったアウトラインをダイアグラムに変換する。ダイアグラムモードで作った図をアウトラインに変換する。この統合の見事さは、他に見たことがありません。

でもそのInspirationにしても、その統合された機能を本当に「アイデアプロセッサ」として活かすには、やはりアウトライナーでの「発想」の性質を知っている必要があったとも思う。でなければダイアグラムはダイアグラム、アウトラインはアウトラインとしてそれぞれ便利、で終わってしまうのです(いや、それでも充分に便利だったのですが)。

「アウトラインプロセッサ(アウトライナー)」と「アイデアプロセッサ」についてのぼくの解釈は、「文章を書く場面においてアウトラインプロセッサ(アウトライナー)はアイデアプロセッサでもある」というものです。

そこでは文章を書くことそのものが「発想法」になる。つまりアウトラインプロセッサ(アウトライナー)がアイデアプロセッサとして機能するのです。

『書くためのアウトライン・プロセッシング』では、文章を書く場面でアウトライナーをアイデアプロセッサとして活かす方法、そしてその背後にある考え方についてお話ししています。キーワードは「点」と「線」、そして「ピース」と「語り」です。